しかし、半分も過ぎた辺りで日が沈み。
あろうことかパンクをする。
■時は夜の8時過ぎ。
自転車屋なんかはとっくに閉まっているであろう。
というか自転車屋あるのかどうかもわからぬ、広大な荒野であらせられる滋賀!
雄大なる琵琶湖!
パンクをして、どうしようも無くなった私がここに、ひとり!
琵琶湖にひとり!
うわーん!
…、だからと言ってどうしようもない。
前に、前に進むしか無いのだ。
■そういえば琵琶湖一周自転車ガイドには書いてあった気がする。
パンクもよくあることなので替えのチューブなども用意しておくべきだと!
用意してない!
いや、この自転車もここ3ヶ月前くらいに買ったばかりのやつだから大丈夫だと思うじゃない!
まさか、パンクするなんて!
…!はっ!落ち着け
落ち着くんだ!
チューブは持ってきてなかったけど。
自転車の空気入れは持ってきていたぞ。
パンクもそれほど大きなものでなければ
空気を入れつつなんとか進めるんじゃないか?
よし!
空気を入れるぞ!
よし!
空気を入れているぞ!
よし!
…。
まったく入ってる気配がしないぞ!
重症だーー!
かなり大きな穴が開いているのか
まったく手応えが無い!
うわー!どてんばたん!どてーーん!!!!
■…とまぁ、のたうちまわっても仕方が無い。
進もう。
ちょっと乗ってみよう。
ガタンガタン
…
ガタンガタン
…
なんとなく乗れない事はない。
昔、自転車屋さんに空気の抜けた自転車で走り続けたのを修理に持って行くと
チューブがベロベロになっていて
どうしてこんなになるまでほっといたんですか!
と叱られた想い出が蘇るけども。
進むほか無い。
なんとか進む事は出来る
お尻痛いけど。
スピード遅いけど
今にも大破してまったく動かなくなる恐怖はあるけど。
進むしか無いのだ。
■ガタンガタン
…
ガタンガタン
…
ときおりiPhoneで現在地を確認する。
琵琶湖一周の3/5ほどだ。
全然進んでいる気がしない。
後半はなんとなく、下りでスイスイと進める気がしていた。
…気のせいだった!
進まない!
まったくもって前に進んでいる気がしない。
もう一度言おう
琵琶湖広い!
滋賀は広大だーーわーーー!!!
■漆黒闇。
街灯もまばら。
大きな道に出ればトラックの恐怖。
パンクしたままで、進むワタクシ。
少しの登り坂になると自転車を降りて歩く。
足も、とうに限界を超えている。
そんな限界状態なのに「迷う」!
琵琶湖なのでそこかしこにその水は川に流れていくわけで、
通り道は橋がある。
その橋を渡れない!
高速道路ではないが大きな幹線道路は自転車で走りにくく、
私は下の道を走っていると、橋にのぼれない!
という事態が頻繁に起こる様になった!
その度に横道にそれ、少し離れた小さな橋へ。
しかし、どうもおかしい?
と思い意を決して大きな道路に自転車で突入。
どうやら、あまり良くはないが自転車通っても良い感じ。
いや、実際良いのかはわからないが。
行けるのなら行かなくては。
死んでしまう!
ふらつきながらも。
夜の道路を。
歩道は時にとぎれ。
逆側に渡り。
街灯はやはり少なく。
地面の状態に集中しなければ、車止めにブチあたって横転する危険。
■もうろうとしながらも、だいぶんと南下し、やや都会部にやってきた。
なんとなく感覚的に場所感があるとことだ。
しかし、まだ遠い。
「タクシーを呼んで自転車を積んで帰る」
という選択肢もあったはずなのだが。
なぜか、そのときの私はそれを選ばなかった。
というかそういう考えさえ浮かばなかった!
「長時間の自転車の運転は事故の元なので、無茶は禁物ですよ」
とはこういうことなのか!
人身事故ではないか、パンクやらなにやらこういうことも事故だと言えよう!
みんな!無茶は禁物だよ!
■さておき、私は悟りの境地に入る。
漕いでも漕いでも進んでいる気がしない。
琵琶湖はまるで永遠のごとく。
夜の0時を過ぎた。
あはははは!
あはははは!
わ、わたしは何をやっているのだ?
知らねー!
げらげらげら!
げらげらげら!
■落ち着けー!
…はー、ふぅ、ふぅ、…。
大きな道路からは反れ、湖岸沿いの自転車道が復活し
それに沿う様に走る。
もう、どうしようもない。
なるようになれだ。
え?…パンク?
したままですが!?それがなにか?
ガタンガタン
…
ガタンガタン
…
■私は、進んでいない事を理解しながらも
またiPhoneで現在地を確認する。
充電は切れてないかって?
大丈夫!
充電器を持って来ていて。
もう、既に一回目の充電は済ませた後だ!
ぬかりはないぜ!
■さぁ、そこでだ。これを読んでいる君!
こんな酷い状況は、これ以上はないだろうと、
そう思っているだろう!
思っているでしょう!?
違うね!
全くもって全然違うね!
ズバーン!
■私は、現在地を確認しようと、ポケットからiPhoneを取り出す。
いや、取り出そうとした。
ゾクリ!
手応えがない。
ない。
iPhoneがない。
動揺!
いや、間違えてカバンに入れたかもしれない!
カバンをぶちまける。
無い!
iPhoneはない!
■つまり、これはどういうことか?
私はiPhoneをどこかで落としたのである!
深夜0時を過ぎた、完全疲労困憊の私は、
iPhoneを無くした。
どこにで無くしたのかも、まったくもってわからないのだ!
どうする!?どうなる!?
どうすればいいのーーーーッ!!!!
うわーーーん!どてんばたん!どてーーーーん!
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