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2023年8月27日日曜日

【映画感想】SAND LAND


■「SAND LAND」面白かった!

というか映画に必要なものが全部入っていて、

下手に過剰な感情表現がなく。

なのに正義や平和の根源的なことをサラリと表しているので、

最後とても幸せな気持ちで泣いてしまった。

素敵なものの塊。

透明な心。


■多少原作から変わっている所、

映画としての盛り上がりや派手さを足す感じで良かった。


「話せるのか?」の後に虫人間が

「逃げて」と言っているように聞こえるのよね。


■ひとつ難点を言うなら

音楽をマッドマックスばりの

ゴリゴリのロックやメタルな感じにした方が良かった気。

そこ変に子供に配慮してるよねー。


■しかしCGアニメ表現も全くわからなくなってしまった。

え?普通に手書き線画だよね?

と思ったら全部3DCGなのよねー。


■原作は当時ジャンプの連載で読んでいて知っているはずなのに。

全然内容覚えてなかった。

そんなに面白いと思ってなかったのよね。

そして映画を見る前に本屋で単行本があったので

買って読んでみたのだった。

あ、これ完璧な漫画だ!

1巻完結でまるで映画のようなまとまり具合!

映画にすればいいのに!


映画になってた!


■戦車戦もバリバリカッコいいし。

戦車の音も良い。

それでいて魔物を出すことで

ドラゴンボール的な戦闘アクションもあり。

歴戦の軍人の戦術もワクワクする!


■悪魔を筆頭にさまざまな魔物がいる世界なんだけど、

人間からはもちろん魔物は悪く酷いやつだと思われている。

魔物自身も盗みや暴力など当たり前だから

ちゃんと自分達は悪だと認識している。


■なので人間は自分達がやった悪行を誤魔化すために

「あれは魔物の仕業だ」

なんて言っていたりもした。

そんな人間の行った悪行は

殺しや戦争、国民に嘘の情報を流し搾取する。

それらを聞いて魔物はおののく、

「なんて悪い奴らなんだ人間は…」

2500年生きている悪魔の王子であるベルゼブブですら

殺しはしたことがないというのに。


■人間は私たちは魔物ほど悪くはない、と思うことで。

自身の残虐性をうまく誤魔化している。

そして人間同士でも、

自分は正義の味方で悪を打ち倒す

素晴らしい行動をしているのだ!

…と思うことで良い気持ちになったりする。


■しかしそれが嘘だったり、

騙されていたりで。

自身は最悪な残虐行為に加担していた。

正義の清らかな気持ちで極悪非道な行動を!


■それに気づいた時、人間は反省してやり直すのか。

それともそのまま誤魔化したまま、

他人にその罪を着せてのうのうと過ごすのか。


■…みたいなことをそれほど大きく見せずに

底にひっそり忍ばせながら、

表面上は楽しい映画なんですよね。


「悪魔よりワルだなんて、許されると思うのか」


この言葉がグサリと心に突き刺さる。


■そして砂漠となった世界。

それも自分の見える範囲でしか見ないと。

自分の見える世界が世界の全てだと思ってしまう。

角度を変えれば距離を離れて遠くから見れば、

その世界は全く変わって見えてくるのに。

そんなことに全く気付きもしないで、

世界のことを分かったふうになってしまっている。


たった一歩踏み出してみれば、

世界は違って見れるかもなのだけど。

もしかしてそうすることで

自分の悪と向き合う羽目になるかもしれないから。

多くの人は踏み出さずに

安定した現状に引きこもっている。

しかもその安定は

安定に見えてズルズルと

下り坂の穴ぼこに落ちて行こうとしているのに。


■まぁ、なんてこともありながら

基本的に超楽しい映画なので観ると良いですぞ。

本当に「完璧!」って思ってしまえる。


そして最後はちゃんとハッピーエンド。

終わりの中身も全て良し。

道中こそが人生さ。



映画『SAND LAND(サンドランド)』公式サイト





極楽京都日記: 【映画感想】ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE  

極楽京都日記: 【映画感想】君たちはどう生きるか  



2023年8月26日土曜日

【9/3COMITIA145新刊】ファイアー・スパーカー【まり王:C10b 】

COMITIA145

日程:2023年9月3日(日)

場所:東京ビッグサイト東4・5・6ホール



出ます。


9月3日

コミティア145 

まり王 C10b 

新刊「ファイアー・スパーカー」 28ページ


スピードとパワーのある漫画です。


↓以下サンプル















果たして彼らの運命やいかに!


まぁ、続きは

増殖し、皆玉となり。

宇宙の端々に飛んでゆき。

星々の生命の始まりとなるのです。

後半はそんな話で。

本当!


これる方は買いに来てねー。



COMITIA145

日程:2023年9月3日(日)

場所:東京ビッグサイト東4・5・6ホール


まり王 C10b 

新刊「ファイアー・スパーカー」 28ページ



↓最近の数冊はメロンブックスで扱ってます。

まり王の同人誌・ゲーム等の通販はメロンブックス

 



極楽京都日記: 【新刊kindle本】アルファンベルトいちごちゃん 1: 奇妙な言葉リズム【7/17発売】  

極楽京都日記: 【新作kindle本サンプル】羊のメアリー大冒険【11/3発売】  

2023年8月20日日曜日

【小説感想】無人島に生きる十六人 須川邦彦


『無人島に生きる十六人』


■面白かった!

とてもよく出来た話なので、

実話と思って読んでいたが、

実は小説なのでは?

…と思ったがやっぱり実話だそうな。


■中規模の漁船が難破し、無人島に漂流する話だ。


明治32年の話らしい。

昔といえば昔だが、

そう遠くもない昔だ。


■しかし船員たちは立派な船乗りで

お爺さんから若者まで揃っている。


なので、漂流記ものにありがちな

仲間とのイザコザや、飢えにや病気に苦しみ

辛い別れ、とかは無い。

皆、規律正しく生き延びるために地道な作業をコツコツとこなすのだ。


■そして冒頭は生き残ったその老人が

新人船乗りの若者にその無人島での漂流話をするところから始まる。

そう、つまり生きて帰ってこれているのだ。

なので安心して読める。


■だからと言って全てが順風満帆なわけでは、もちろんない。

台風で船が大破するまでに、多くの荷物を島に運び込むことができたのが良かった。

ある程度の食糧や道具が揃っていたのだ。

ベテラン船員たちはこういう時の生き残りの術を知っているし。

若者たちも彼らを信頼して黙々と労働をこなす。


■島には川がなく、海水を沸騰させて蒸留水を作る。

サバイバル技術でよくあるやつだ。

しかし、これが思った以上に水がちょっとしか取れない。

16人もいるしね!

井戸を掘る作業もやるのだが、汗だくで何個も深い穴を掘るものの、

しょっぱい水しか出てこない。

蒸留水は少しだけで全然足りないし、

火を燃やすための木材もこの島にはほとんど無い!


■しかし魚は釣れたし、

海亀は陸にいる時はひっくり返すだけで捕まえられるという容易さ。

しかもその海亀がとても美味かったらしいのだ。


■そんな無人島での生活がとてもリアルに描かれていて

なんとも魅力的なのだ。


雨が降った時の「これで水が飲める!」という喜びもすごく感じることができる。


鳥の卵を食べたら美味しくて

だけども食べ過ぎて便秘になって

食べれる野草を探して食べたら便秘は治ったり。


アザラシが島の端によく居るが

それを食べるのは切羽詰まった時にしようと決めてたら

船員の何人かはアザラシと仲良くなって友情が芽生えてたり。


■そんなことを言っていると、

のんびりしているように見えるが。

その島は船の通るルートではないし、

助けが来る可能性はかなり低い。

彼らはここで何年でも耐える構えだが、

それも希望があればこそ耐えられるのだ。


果たして、その運命や如何に!


■最後は読んでいてワッと喜んでしまいましたよ。


読み終わった後は日に焼けていそうでした。


良い体験をした。



この記事で知ったよ↓

2021/08/21

太平洋の無人島に漂着した16人の日本人が腹いっぱい堪能した「牛肉よりうまい動物」の名前 海水で煮た潮煮は最高だった #プレジデントオンライン  

kindle版がめちゃ安かった。


↓青空文庫でも既にあるのね。

無人島に生きる十六人

須川邦彦


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2023年8月5日土曜日

【漫画感想】ROCA いしいひさいち




■なんか私より少し年上の漫画家さんたちがこぞって大絶賛していて

なんなんだろう?と思っていた。


いしいひさいちといえば四コマ漫画で

「ののちゃん」で「おじゃまんが山田くん」の人で

実家は朝日新聞だったのでののちゃん読んでいた気はする。


だけれどもそれほどすごい人だとは思っていなかったので。

同人誌の通販とか知っていたけど買わないでいた。

そのうち関西コミティアとかに来られたらその時買おう。

くらいの感じだったのだ。


■んで、kindle版が出たと言うわけで

そんならば読ましてもらいまっせ。

どんだけのもんじゃい!

と上から目線で読み始めたのである。

■ストーリータイプの四コマのやつで140ページくらいで一巻完結。


結論を先に言えば震えて変な顔をして泣いている。


いや、別段よくある話で

女子高生が歌に目覚めてミュージシャンを目指すってやつだ。

ロカは多分才能があるんだろうけどボンヨリしている。

そして悪友の柴島ちゃんヤンキーというかヤクザの娘というかちょっと怖い。

二人は友達になって。

柴島は別にバンドのメンバーになるわけじゃないけど、

ずっとロカの隣に居る。

それがとっても頼りになるのだ。


■そんな二人の日常がチマチマと描かれてゆく。

そして、段々と前に進んでゆく。


面白いのは初めのうちは些細な出来事を

丁重に綴っているのだけど。

先の未来に進むにつれ。

その余白というか行間が多くなる。


ライブの始まりの緊張から一転、

次の瞬間にはライブ終わりになっている。

ライブ自体は端折られているのだ。


■そんな感じでトントン拍子に

ロカの人生は進んでゆく。

でも、その描写を飛ばされた時間も。

読者はありありと思い描くことができる。


出会った人たちの愉快さや優しさ。

面白い偶然の出会い。

落ち込みそうにもなるけれど

ガサツで乱暴者の柴島ちゃんはいつも寄り添ってくれる。

彼女のパワーにとても救われる。



■そうして飛び石のように見せられた彼女の人生は

アッと思った瞬間に終わる。

最後はザックリと端折られて。

本当にアッと思ってしまうのだが。

その間のことはなんとなくわかる。

とても良いシーンだけがポツリポツリと描かれて

おしまい。

(バカめ!これはラストシーンじゃないぜ)

■映画になるよねこれ。

アニメ監督とかこれ絶対映画にしたくなるでしょー。

ストーリーは断片なのでいくらでも付け加えられるし。

実写映画でもいいなー。

でも、実写にすると絵がしょぼくなりそうだから。

アニメ映画が良いなー。


あー、良いものを見た。

なんたる。

なんたるや。



紙の同人誌も通販で買えるみたいよ?

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ファンアート。


高畑勲が生きてたら映画にしそうだ。

「じゃりん子チエ」に近くもあるよね。



曲の歌詞の風景と感情




「最近の歌謡曲の歌詞は風景描写無いように感じる」

「そうか?」

「まぁ、なんとなくなくもない感じでもするけど。もう少し詳しく言うと物語がない」

「え?そうかな?なんか感動する感じのあるじゃん?」

「そうなんだよ、そこもなんとなくあってラストシーンだけある感じ」


「あー、うーん、そうかなー?じゃあ昔の曲はあるっていうの?」

「あると言うか、一曲でテレビドラマとか映画みたいな曲が多かったイメージ」

「たとえば?」

「雨は夜更け過ぎに雪へと変わるだろう…とか」

「クリスマスじゃーん!」


「だろ?アスファルトタイヤを切り付けながら暗闇走り抜ける」

「都会の夜をスポーツカーで恋人のマンションに乗り付ける感じじゃーん」

「な?夏が過ぎ風あざみ誰の憧れに彷徨う青空に残された私の心は夏模様」

「少年時代の夏の想い出じゃーーん」

「だろ?」

「ドラマチックだな昔の曲」


「いや、現代の曲もドラマチックではあるんだよ」

「あ、そうか」

「でも具体的な風景や物語がなくてドラマチックな感情だけがそこにある」

「あー、なるほど。そんな感じだ。感動はするものな」

「そう感動するのは一緒なのね。でも現代の曲は具体的なイメージがない」

「それはどう言うことなんだ?」


「感情移入しやすいと言うことなんだよ」

「あー、そうか。曲のぼんやりしたイメージの中に自分の顔をハメ込める感じね」

「そう!だからイメージがぼんやりしている方が誰でもその曲に感情移入しやすい」

「んー、ならば昔の曲は感情移入しにくかったってこと?」


「いや、それが昔の人はそれで感情移入していたのよ。自分と全然違う美男美女の都会のキラキラ恋愛モノの曲でもたやすく感情移入していた」

「えー?なんでよ?自分と全然違う人に感情移入できないでしょ?」


「違うんだよ。その時代には夢があった。自分もいつかは彼らみたいにキラキラ出来るはずだと思える将来に向かう希望があった」

「なんだよ、現代の若者が希望がないみたいに言うなよ」

「…あるのかい?」

「…。」


「つまり、昔は自分と違うキャラクターでもなりきれる、王子様にでもシンデレラにでもなれた」

「なれるわけねぇー」

「そう、現代の若者は王子様にもシンデレラにもなれないと気付いている」

「絶望的観測だな」

「絶望している。だけどシンデレラになりたくないわけじゃない」

「そりゃあ、ね」


「なので今の自分そのままで王子様に迎えに来てほしい」

「ご都合主事だね」

「ありのままに、だよ」

「レリゴーっスな」

「魔法使いの力でドレスもガラスの靴もカボチャの馬車も出てこない。魔法使いなんていない」

「悲しい」


「なのでもはや感情だけがあればいい、幸せな気持ちになれる曲さえあればそれで幸せだ」

「そうか、私はもはや特別な何かになる必要もなく」

「そう、自分だけの特別な物語を手に入れるため足掻くことも出来ず」

「幸せな感情だけ」

「幸福な想い出だけが」

「あれば良い」


「そうしてそれは脳に刺激を与えるだけで簡単に摂取出来る」

「世の中に希望がなく、人生の全てに絶望しようとも」

「素晴らしい音楽を聞けば」

「私は満たされ、涙する」

「…。」

「…。」

「いや、怖いわ」

「なー」


イルミネーション 真下に見下ろし
夜を昇ってゆく エスカレーター
凍りついた ビルの谷間を
ヘッドライトの 河が流れる

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極楽京都日記: 【新刊kindle本】アルファンベルトいちごちゃん 1: 奇妙な言葉リズム 

2023年8月1日火曜日

POST OVER


ここ数日アパートの隣に住んでいる人の声が聞こえない。

姿も見ていない。

何歳かは知らないがそこそこ高齢なお爺ちゃんだ。

偶然会ったら挨拶する程度の付き合い。

そしてウチのアパートはドアに直接ポストが付いているタイプで、

そこに新聞が溜まっている。

取り忘れているのか朝刊と夕刊が差しっぱなしだ。


一階の角部屋なので外から電灯が付いているのが見える。

夜も付いているし朝も付いている。

次の日新聞が押し込まれたのか、

今日の朝刊だけが差してあった。

そのポストの隙間から室内に灯りが付いているのが見える。

人の気配は感じられない。


いや、電気消し忘れて旅行に行っているのかもしれないし。

急遽入院とかで病院にいるのかも知れない。

いつもは頻繁に独り言のような声が隣から聞こえてくるのだが、

そういえば数日聞いていないような気がする。

気のせいかも知れない。


日曜日になって、

状況は変わらず

こりゃいよいよアレかな?

と管理会社に電話をすることにする。

でも、普通にコロナとか罹って伏せっているだけかも知れないし。

どうしよう。

しばらく悩んだが電話をすることに。


電話をしてみると自動発信で

「本日の営業は終了いたしました」

とのこと。

あー、日曜日休みかー。

んー、どうしよう?

まぁ、でもダメで元々、

連絡はしておこうと会社のサイトからメールを送ることとする。

これで月曜日にはどうにかなっているだろう。

ひとまず自分のやれることはやったので安心をした。


月曜日は朝から仕事に出かけた。

ポストに新聞はまだある。

電話番号も書いていたので仕事中に連絡があるかと思ったが、

それもなく。

夕方5時となり終業時間となる。


帰宅。

件の部屋の灯りが消えている。

ポストの新聞も無くなっている。

何かしら確認されて解決はしたっぽい。

自分の部屋に入るとパソコンの方のメールに

「報告ありがとうございます、すぐに確認いたします」

と朝方に管理会社からメールが入っていた。


それ以降結果のメールは来てなかったので。

特にアレな問題はなかったのだろうなぁ、

と勝手に解釈し安堵する。

外は暑く汗をかいていたので風呂に入る。

さっぱりとして体をタオルでふいていると


「ドンドン!ドンドン!」

ノックの音が鳴り響く。


「警察です、少しお聞きしたいことがございまして」

あ、あぁ…

「ちょっと、待ってください」

慌てて体を拭き服を着る。


ガチャリ。


「あぁ、夜分にすいません」

「いえ、もしかしてお隣さんのことですか?」

「えぇ、亡くなっておられました」

「あらー…」


「事件性は無さそうなんですが、一応お話を」

そんな感じで一通り話をして解散。

あー、

そっかー、

そうなのねー。


まぁ、この暑い最中早めに発見できて良かったかな。


というかここ数日ずっとお隣さんはいらっしゃったのね。


ははーん…

へへーん…

ほほーん…


完!


2023 7/21〜7/24


なめらかな文章だが小説ではない。

ノンフィクションである。

そんなこともある。



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