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2014年1月19日日曜日

2013年のゲームキッズ(渡辺浩弐):小説

■2013年のゲームキッズ
渡辺浩

■最近、ネットで話題になったブログをご存知だろうか?
普通の女の子の普通のブログだと思って見ると。
とあるホラーな仕掛けのあってビックリしちゃった。アレだ。
それが人づてに口コミで拡散し。
700万PVを越える大ヒットコンテンツとなった。

それを仕掛けたのが、この小説の作者である
渡辺浩なのだ。

■小説家としてはさほど有名ではないかもしれないが。
何故だか、昔ゲーム少年だった人はほとんどが知っている。
そしてその小説も読んでいた。

その昔、ファミ通というゲーム雑誌が100万部を越える発行部数を誇っていた頃に彼の小説は載っていたのだ。
ゲーム雑誌なのに小説が載っていた。
それは1ページだけ。
しかも続き物ではなく、1ページで完結する短編の物語だった。

その小説は少し先の未来をえがきつつも、現在と地続きの科学技術知識が詰め込まれ。
ときには、読者の私達が知らない技術や仕組みについて教えてくれたりもした。
もちろんショートショートの物語としても秀逸で。
いつも見事なオチがあり。
二転三転するドラマがあり。
読者をあっと言わせるどんでん返しがあった。
それは現代社会への皮肉であったり、少年の苛立や悲しみであったりもしたが。
その根底には未来は明るいという希望の光が見え。
私は一人ではなかったんだ、という底知れぬ幸福があった。

などという短編の物語を「週間で」連載していたのだった。
私達はむさぼる様にそれを読んで育った。

まぁ、なんていうか私はこの小説家のファンなのである。

■そんな彼の「ゲームキッズ」シリーズの新作が
2013年、星海社という出版社のネット連載で始まった。
冒頭で紹介した「女の子ブログ」も、
彼の「小説」だったのだ。
彼はこのようなイタズラが大好きだ。
だが、これは表面上のことであり。
彼ほど真摯に「物語」や「未来」そして「永遠」に立ち向かっている作家は稀である。

■渡辺浩氏は以前はテレビ番組などでも有名で
今はネットの生放送でゲーム系の番組の司会などをやられている。
確かな知識に基づき、ゲーム愛と共に広げられる会話は面白く楽しい。
そして大抵は「道化」として愉快におちゃらけて見せたりしている。

だが、本当は道化などではない。
好きあらば、この世界を「革命」してやろうと。
ギラリと光る仄暗い瞳が見える。

しかも、暴力でも兵力でもなく
「小説」でこの世界を変えてしまおうと、
冗談ではなく本当に思っている
危険分子なのである。

そんな人の書く小説だ。
面白くないわけがない。
麻薬的な魅力がある。
だがそれは人を堕落させるものではなく、
私達の心の中を「革命」させてしまえるパワーがある。

あぁ、恐ろしい。
とても、怖いものだ。
だが、ページをめくる手は止められない。
そしてなにか行動しなくてはいけない、と思ってしまう。

動かなくては。
そうだ、この世界が間違っていると思うのならば。
まずは読んでみるのが良いのではないか?

とても、
とても、楽しいと思うよ。

■…なーんつってな。
本の2/3くらいはその星海社の最前線ってサイトで読めますので
そこでどうぞ。
何か心に引っかかったら買って見るとよいですよ。
「謎と旅する女」の続きもあるし。
超怖くて面白い!
34話聖地、47話全体主義、とか突き詰めて行くと、
どえらい所に連れて行かれたり、思いもかけないアレが出て来たりで。
大変好みで大笑いして感動してしまう感じなのですよ。

とても、愉快!

いやー、良いもの読んでしまったのですわ。


■【最前線】2013年のゲームキッズ


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