2013年12月26日木曜日

島本和彦は悪である!「アオイホノオ」11:漫画感想

島本和彦は悪である!

■いやいや、悪ではないですね。
島本和彦先生は日本一、いや世界一「ヒーロー」に成りたい男なのです!

だが、しかし!
彼はヒーローになれたのか!?
みな心の中に自分だけのヒーローを持っていることでしょう。
スポーツ選手だったり、アイドルだったり、
もしかしたら自分のお父さんだったり。
ならば漫画家を目指す人は島本和彦先生をヒーローとして心に抱えているだろうか。
いや、私も島本先生の漫画大好きですが。
島本和彦はヒーローではない!

ヒドい!

そして島本先生はパロディギャグ漫画が得意なのですが。
そこに紛れて時々ヒーローモノ漫画を描いているのです。

だけど。

ギャグ漫画の方が面白い!

ヒドい!!
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■そんなところで「アオイホノオ」11巻の感想を始めます!

アオイホノオは美大に入って何かしらクリエイター的な者になろうと
心の中で思っているだけで実際には何も行動に起こさないホノオくんが
雑誌に載っている漫画やテレビのアニメに対して
超、上から目線で
「オレはわかっているがな!」
と何もしてないからの根拠の無い自信で
クリエイター論をぶちまける漫画です。

だったのだが!
動き出してきたのだった!
そうだ!動け!ホノオ!

ホノオくんは編集者に送る漫画を描き始める。
そこでようやく、雑誌に載っている漫画は
実はとてつもなく、とんでもないのではないか?
と気付き始める。

そして美大の同級生だった奴らが
アニメを作り出しているという。
その奴らとは!
現在のエヴァンゲリオンのアニメ会社「ガイナックス」の
初期メンバーだったのだ。
完全素人集団の作ったアニメがSF大会という
日本国中のSFオタクが集まるイベントで
そのオープニングアニメの製作をまかされた!


焦るホノオくん。
オレはまだ何も成し遂げていないのに!
アイツらばかりずるい!
失敗しちまえばいいのに!
と心の中で叫ぶ!

ダメだコイツ!

■とそんな感じでホノオくんはのたうち回る漫画ですが。

この1冊にクリエイターが経験すべき体験が全て詰め込まれている感じです。
ホノオくんが
嫉妬と自意識に絡めとられてる中。

アニメ制作をしている連中は
絵を描き始めると延々、延々、寝食も惜しんで
絵を描き続ける庵野という男を筆頭に
様々な才能を持った異彩輝く天才達が
奇跡のごとく集まった異様な集団。


だが、彼らとて初めての本格的なアニメ制作なのだ。
現代のようにインターネットもない時代、
試行錯誤を繰り返しながら、悩みながら戸惑いながら
アニメを作る!

そして完成!
完璧だと思うが、自信はない!
震えながらもアニメの上映は始まる!

いろいろ問題はあったが。
「ウケた!」
お笑い芸人が舞台で「ドッ!」という観客の反応を体験すると
もう一般人には戻れない。
という。
あの「ドッ!」があったのだ!
「ドッ!」を体験したのだ!
「ドドドドドッ!!」っと体験したのだ。

これで、もうダメだ。
彼らは一生、クリエイターであることからは逃れられないのだ。

女が子供を産む痛みは想像を絶するのだが。
なぜそれなら2人目、3人目を産む人がいるのか?
そこには想像を絶する喜びがあるからだ!

彼らはそれと同等のものを感じてしまった。
呪縛!
幸福の呪縛である!

■そして!
それを見てしまったホノオくん!

絶望!
上から目線で批判的に言いくるめてやりたいが、
既にマンガを描き始めクリエイターとしての一歩を踏み出してしまった彼には、もうわかってしまったのだ!

すげえよ!
すげぇよ!
ふざけるなバカ!
すげぇおもしれーよ!

うわ~ん!!

なのである!
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■そんな感じで超楽しい漫画ですよ。
クリエイターの人は読むと死ぬけど
それでも死んでも蘇るほどに、面白いのですよ。
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■んで、最初の話に戻るのだけど
この漫画の作者、島本和彦先生は
こういうホノオくんみたいな人物を描くのがすごく巧い。
面白い、天才的に!
で、ホノオくんは「ヒーロー」かと言えばそうではない。
最後とかあれだ
「ちくしょー!おぼえてやがれ!」
と遠ぼえを吼えて去って行くダメな奴である。

こういうの仮面ライダーの悪の組織
ショッカーとかも言ってなかったっけ?

そうです、実は島本先生「悪の組織」を描くのがすっごい巧いんじゃないか?
なのです。
崇高な理想を持ち、そのためにはどんな苦労もいとわない。
一生懸命頑張ってる。
なのに、どこか間が抜けていて
最後の一歩が届かずに悔しい思いをする。

現実の悪ではなく、
物語の中にいるヒーローモノのなぜかちょっとコミカルな悪に
島本和彦はぴったりくり感じがしたのですよ。

「ふははははは!バカめ!いまごろ気付いたのか?もう遅いわ!」

なんてセリフがしっくり来てしまう。

なので島本和彦は悪である!と。
そして皆、悪から学ぶのだ!
悪の書を読もう!

ヒドい!

それはとても勉強になるし
すごく楽しいことなのだ!



■そんな島本和彦先生、現在
「ヒーロー・カンパニー」というヒーロー漫画を連載中である。


どんな悪の組織が出てくるか?
気になりませんか?

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