「こんにちは、あなたは誰?」
「こんにちは、私は門番です」
「そこを通してはくれませんか?」
「ダメです」
「なぜです?」
「王様の許可がない人は通すことはできません」
「王様はどこにいますか?」
「この門の向こう側です」
「…これまでにこの門を通った人はいますか?」
「ひとりもいません」
「あなたは優秀な門番ですね」
「私は優秀な門番です」
「いつからあなたはここにいるのですか?」
「千年は昔からです」
「王様は本当にいるのですか?」
「王様はいつだって皆の心の中にいます」
「そうです、ここはあなたの心の城壁。あなたの王は心を閉ざしてしまった」
「あなたは誰ですか?」
「私は医者です、王様の病を治すためやってきました、王からの手紙もあります」
「ふむふむ、間違いないようですね」
「そうです、間違いありません」
「では、お入りください」
「ありがとうございます」
「お医者さま…」
「なんでしょう?」
「きっと王様を治してくださいね」
「えぇ、きっと…」
門番はそう言うとまた前を向いて守護の任務をまっとうした。
極楽京都日記: 短編小説■ひとりぼっちの魔法使い
極楽京都日記: 【小節:戯曲】「サーカス物語」ミヒャエル・エンデ【感想】
極楽京都日記: 世界の仕組み。
極楽京都日記: 【小説】星の王子さま【感想】
— 内海まりお UTUMI Mario (@mariouji) 2018年1月25日
追記:トミーケニー。 pic.twitter.com/wNlv5vzJa7— 内海まりお UTUMI Mario (@mariouji) 2018年1月27日
もちろん道の先には城は無く、
王なんてもいやしない。
この世界の王は先ほどの門番なのだ。
私は少し時間を潰してから
元の道を戻り
門番に「王様は良くなった」と言うだけだ。
それで彼の生命は回復することだろう。
安心が必要だ。
安寧で満たされる。
良い旅を。