この舞台はどうしても成功させたい。
それは劇団の皆も同じだった。
その想いがいつもは噛み合わなかった歯車を
ガッチリと噛み合わせたような気がする。
自分達の全てを出し切った最高の舞台となった。
本当の拍手喝采というものを
俺は初めて味わった。
物語の主人公である俺は舞台の中央で
演出による紙吹雪を一身に浴びる。
あぁ、なんて感動の恍惚の瞬間。
この時が永遠に続けばいいのに。
スポットライトに照らされて
世界の全てが真白に輝く。
紙吹雪は止むことなく、
辺り一面を白く染めてゆく。
それはいつまでたっても止まる気配がない。
無限の幸福、
俺は白い発光の中、
自身の姿を見失っていくのだった。
世界は完全に白く滲む。
というわけで、
小説家、北野勇作さんのほぼ100字小説の漫画化第六弾です。
これは「納戸のスナイパー」の72ページにあります。
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