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2017年4月25日火曜日

【漫画感想】ディザインズ2巻五十嵐大介


動物の遺伝子を埋め込んでデザインした人間を作る実験。
それは、人類の宇宙進出を視野に入れた広大なプロジェクトだ。
しかし、そこには様々な野望が交錯し静かな内乱が起こり始める。
動物人間はその能力をいかんなく発揮し
やすやすと人間を超えた存在になっていく。

だが、人も動物人間もどこに向かっているのかが不明だ。
向かおうとしている者もいる
進むべき道が見えているとうそぶく者もいる

彼らのそれぞれが天才だ。
彼らがそれぞれに世界を知覚する。
それはそれぞれに違った環世界を有する。
正しく捉えられているのなら
それらのどれもが正しい世界なのだ。



なんて感じで、
体の一部に動物の能力が宿った人間たちが
様々に交錯してゆく物語なんですけどね。

人の動物化なんてのは
できそうな気もするけど
まぁ、そこはほぼフィクション。
嘘の話。



でも、その1点以外はすごいリアリティで描かれるので
もし、そうなれば、どうなるのか。
それがとても気持ち良くシュミレートされていく。

動物の感覚器官で見た世界はどうなのか?
その時の気持ちはどうなのか?
もしかして心の有り様まで変わってしまうのではなかろうか?

自分の感じ方が変わるというのは
世界が変わるということと同じだ。

世界が変わってしまっても
自分は変わらずに居られるだろうか?

いつも見ているものが
違うものに見えたのなら。

今まで見えてなかったものが
見えるのようになったのなら。

正しい世界なんて無いのではないだろうか?



なんてねー。

違う瞳で見て
違う耳で聞いて
違う鼻で嗅いで
違う皮膚で感じる。


そしてこの2巻で
マザーが出てくる。
遺伝子操作された動物人間は
試験管ベイビーな感じで
容器の中で生まれたんだろう。
そう、勝手に思っていたのだが。
違った。

博士が言うには
ちゃんと母の子宮で還した方が安定感がある。

なので全ての動物人間を産んだ
「ビックマザー」が存在する。

なかなかに脅威。

そしてとても楽しい。

世界の秘密を知りたければ
この漫画を読むと良いよ。



神になる過程で
神を知ることになるだろう。

同時発売の短編集「ウムヴェルト」も良いですよ。
「ディザインス」の原型の読み切りと。
五十嵐大介の初期の「はなしっぱなし」テイストの
妖怪というか異形の者をさらりと描いてしまっているのよね。
まるで、本当に居るかのように。
オチも何もなく、ただそこに在る者を描いてしまえる強い筆。
美しさと、畏れと、可愛さが入り交じるのです。
1話試し読み





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