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2017年1月21日土曜日

【漫画感想】うつヌケ〜うつトンネルを抜けた人たち〜田中圭一



おぉ!面白い!
鬱を抜け出した人のインタビュー漫画だから
面白いっていうとアレかもですが
人間は複雑だ、と思っていることが実は単純で。
逆に単純な話だ、と思っていることが実は複雑。
そんなことが分かってとても面白いのだ。
人間は面白いぞー。



■読んでいくと私は鬱になりにくいのかもなー
と分かって安心もできた。
●責任感が強い人がなりやすい。
責任感はほどほどに無いぞ!ヤッタね!(ヤッテない!)
●こうするべきだ、と自分の法にとらわれてしまう人もなりやすい。
むしろ、するべき論を打ち砕くべき歩んでいるのでこれも大丈夫。
できることをやればいいのだ。
●自己肯定感が無い、最悪な結果ばかりを想像してしまう。
自分大好き。お気楽主義!



ヤッタネ!(ヤッテない!)
などと自分にツッコミをいれられる客観性も鬱にならないためには大事。
これは「ムーたち」(榎本俊二)を読んで
「セカンド自分」とかの観念に磨きがかかって
長年使用してきた感覚なので安心。


■とかそんなこと言って自分は大丈夫と思っている人もなったりしちゃうので。
油断は禁物ですよー。

■あと、優秀な人もなりやすいみたいですねー。
私は優秀じゃないから大丈夫ですねー。
って誰が無能人間やねん!
(とか自分ツッコミを入れつつ)



■基本症状としては
「認識の歪み」「正しい判断ができない」ってなところがすごく怖い。
あとで「うつ」が原因だとわかるが
渦中にいる人は「原因不明の不調」として捉えてしまう。
なので正体不明の黒いモヤみたいな感覚で
亡霊に取り付かれたような気分におちいる。
そして自分のことがわからないのだから
他人の気持ちなどわかるはずもなく
勝手な想像で周りの人は全て私に悪意を持って接しているのだ!
なんて被害妄想に取り付かれ症状は悪化の一途をたどる!

■そんなことを言うと怖いのですが
ぶっちゃけ脳のエラー
脳の故障なのでそれを直せばうつも治るのです。
脳は電気信号が流れているだけのものですから
故障している時はその通常回路が切断されている。
なのでそこをもう一度繋ぐか、
別ルートを使って新しい回路を開くのがベスト。
なんてことを昔、中島らものエッセイで読みましたよねー。
らもさんの場合は薬を飲むとピタッと症状が治まったので
「これは精神的な複雑なものではなく、ただの脳の回路異常である」
だからそれを繋ぐだけで心とは何の関係も無しに精神は蘇るのだ。
みたいなこと言ってて。

この「うつヌケ」にもそのような感じの人がいて
なるほどと。

■しかし、また複雑なのが
過去のトラウマ的出来事が原因となる場合
これも脳にその記憶があるために
「しなければならない」という強迫観念がうつを呼び込む。
これも結局は脳の回路を修正しないといけないのですが、
この場合には嫌な記憶の上に
それを乗り越えた良い記憶を
上書きしなくてはいけない、ということ。
それは自分の過去に向き合わなくてはならないので
とても怖い。
しかし、見直してみるとそれは大したことではなかったことも多い。
難しいところ。

もちろん本当にダメなトラウマもあるので
その場合は現在でそれを塗り替える
自己肯定感を得なければならない。
それを与えてくれるのは家族友人だったりもする。
あと趣味とか。

■そんなこんなをいろんな人にインタビューして
様々な回答を得ていくのですよ。
面白いのは答えはひとつではないということ。
そうそう「答えはひとつ!それだけをするべきだ!」ってな思考が一番ヤバいのですから。
そんな色々な方法に
いろいろな人が少しずつ救われていくのですよ。
何より作者自身も経験者なので
作者自身も救われてゆく。

■この少しづつってのも重要で
いきなり100%を目指すと
「それができないってことは私は0%なのだ!」
なんて極端な思考に戻ってしまう。

■この本の様々なヒントから
ちょっとずつ前に進む
うつにはぶり返しがあるので
まさに「三歩進んで二歩下がる」
下がっちゃっても気にしない。
トータルで、俯瞰で、自分をゆったりながめるのだ。

たゆたゆ〜ん。

無駄に感情的にならずに分析していく感じも良かったなー。

そうな人もそうでない人も
読んでおくと人生のヒントになるよ。
対人関係対自分関係のね。



単行本はモノクロで、kindleはフルカラーなので
kindle版がオススメ!
私もまだあんまりkindle本買ってないのだけど
これはすんなり電子書籍を選んだ。
この漫画に載っている大槻ケンヂ氏の大丈夫でない時の大丈夫な曲。
でも当時中高生だった僕たちは彼に救われているんだよねぇ。



最後の白と黒の歯車の話
最近描いたこれっぽくて我が意を得たり。

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