■『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』
えー?!
予想外に無茶苦茶良かったーッ!!
原作に頼り過ぎず自分の映画をちゃんと撮ってて、
それでいて原作リスペクトになってて、
何も覚えていないのに何故こんなに悲しいんだ!
もー、やりおるね。
とても素敵映画でした。
スッキリ。
■一番良いことは鬼太郎の話を嘘にしなかったことだ。
アニメは嘘に逃げがちなので。
リアリティとかでもなく、
これは本当にあった事だと描くこと。
■戦後、戦場帰りの若者、
戦後復興。
全てを失った者。
成り上がり全てを手に入れた者。
何かを犠牲に自分たちが発展することに躊躇がなくなった時代。
発展の中の光と影。
勝てば官軍負ければ賊軍の考えが
リアルに染みついてしまった風潮。
■そんな中での妖怪という存在。
光がどんどん強くなっていくので
影の存在である妖怪はその存在を失くしていってしまう。
さらに影なる存在は悪である。
悪であるものをどう扱おうが構わない。
そんな思考におちいる。
■自分は正義である。
自分は光に向かって歩いている。
そう思っている人ほど
悪人を容赦なく殺す。
そしてその相手が悪人であるかどうかは
自分自身で判断する。
自分で悪人と認定したものは殺してもいいと考える。
「お前は悪魔だ!」
そうすれば自分と違う考えの者を殺しても構わないと考える。
それが光であり正義的存在。
■まぁそんな感じで。
戦後の焼け野原からの都会の大開発。
その裏側で起こっている田舎の名家での世襲騒動。
ありがちな犬神家の一族的なことを
かなりのリアリティーを持って語られる。
とても怖い。
人間とは、げに恐ろしき物なり。
■そんな中でサラリーマンの水木と
鬼太郎の父の交流はとても素敵。
途中のバトルはアニメ的爽快感を存分に扱っていて
とても魅力!
■そんな中、妙に現在アニメに寄り過ぎの女の子登場。
どうなの〜?なんて思っていたら
あぁ、そのキャラをそういう存在として使うかー!
と、とても納得。
■最後、村の人が鬼太郎の父をバラバラにして
目玉だけになるのかなー?と想像していたのだが、
違った!
ちゃんとそこから漫画原作の第一話に繋がるのだなー。
エンドロールの1枚絵の連続物語で
泣いてしまうのだった。
あぁ、そうかあの包帯を巻いた体の爛れた巨躯の鬼太郎の父は
そういうことだったのか。
■何も覚えていないのに、
何故こんなに悲しいんだ。
見事に物語は冒頭に繋がり。
過去に決着も付け。
友情や家族愛なんて
小っ恥ずかしいものをガッツリと
本質の塊をドカンと
現実感を持って置いていかれたのだった。
墓標である。
それらは妖怪の物語として
水木の物語として
語り継がれることであろう。
■蛇足、最後の老との戦いはちょっと昔の子供騙しアニメ感覚だったので勿体無い。
呪術廻戦ばりに怪異的呪いな存在として顔を無茶苦茶大きくしたり目を人間離れさせたり
それこそ妖怪のように変化しても良かったのに、とか思いましたとさ。
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