■「君たちはどう生きるか」観た!
圧倒的パワー!
とても強い!
世界の秘密を教えてあげるよ!
■なんというかあれだ。
物語の創作者は自分の世界を持っている。
自分だけのファンタジー世界を持っている。
しかしそれを表現できるだけの技能がおぼつかず、
その自分の頭の中にある世界を十分に描ききれずにいる。
むしろ中途半端な力量でそれに挑戦すると、
見るも無惨な大惨事になる場合が多い。
■それを宮崎駿はやり切ったのだ。
幼い頃から見ていた夢の世界を
きっちりと描き切った。
そして完全に仕上がるとそれはもはや夢の世界ではなく、
現実との接点を持った非常にリアルなものとなる。
まるで現実とはこのような基底を持った存在なのだと、
錯覚してしまうほどに。
世界とはこういう仕組みで出来上がっていて。
それはワタクシ、宮崎駿が創り上げた世界なのだ。
まるで本当のような嘘を積み上げていくと
それはもはや真実でしかなくなる。
世界はこうやってできている。
■そうして私は理想の世界をこうやって
創り上げた。
どうだい?すごいだろう?
で、どうだ?
君はこれを違うというのか?
■だったら君は世界をどう創るのか?
まだ創り上げていないのか?
それは私の世界より素晴らしいものなのか?
ならば、それでいい。
早く見せてくれよ。
できないのなら。
私の世界が本当の現実の世界ということになるが?
それでいいのか?
君は、
君たちはどう生きるのか?
…みたいななー。
■俺はやり切ったが、君はどうなのか?
へなちょこのまま死ぬのか?
なんていう宮崎駿からの挑発なのですよ。
■映画のそこかしこに
これまでの宮崎アニメのオマージュというか
要素が散りばめられているのですが。
それこそが俺のワールドで、全てがここに、
って感じなので。
まるでもはや集大成なのですよね。
ここに世界が完成した。
■そこには彼自身の人間関係が全てブッ込まれていて
素っ裸の宮崎駿が居る。
あの世界の主の大叔父様は高畑勲だし。
そばに着く助けてくれるのか罠にはめるのか
サギの口から醜悪な顔を覗かせるのは鈴木敏夫だろうし。
通じ合えなかった母と父はそのままに。
というか82歳の老人が
自分は未だ少年の姿だというのが
なんともはや度し難い。
■そうして積み木のように世界を積み上げる。
それは創作の世界なのだが。
その力が大きくなればなるほど、
それは現実世界に影響を及ぼす。
ある時点でそれは逆転する。
強大な創作はもはや現実の世界にとって変わるのだ。
■高畑勲の創った世界には
美しい生と死があるが、魚があまり取れない。
宮崎駿の世界は
美しい自然と生命に溢れるが、
自分の子供のことはほったらかしで。
自分と少女とお姉さんと老婆しかいない。
自分の納得ばかりだ。
■その世界には宮崎駿のこれまでの映画の要素で構成されている。
「トトロ」や「ナウシカ」ほか全部。
それは十三個の積み木。
今回の映画で宮崎駿は二人の人間を救った。
高畑勲が創った「火垂るの墓」の
あの兄妹だ。
神戸の町を現代に至るまで成仏できずに彷徨っていた
あの二人を
この映画で完全に消化できた。
とんでもないことだ。
誰もが救えなかった魂を救った。
■さて、しかし。
大師匠とこ高畑勲はこれを見て
なんというかね?
褒めるのか
けなすのか。
それを想像すると面白いものだ。
ともあれ最高傑作で
ぶちのめされたよ!
早く自分の作品を創らなければーッ!!
ウヒー!
君たちはどう生きるか - スタジオジブリ|STUDIO GHIBLI
極楽京都日記: 【映画感想】インディ・ジョーンズと運命のダイヤル
極楽京都日記: 【映画感想】リバー、流れないでよ
観た。強い!世界の秘密を教えてあげるよ。 pic.twitter.com/4ZoTbabg0y
— 内海まりお UTUMI Mario (@mariouji) July 14, 2023
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