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2023年7月15日土曜日

【映画感想】君たちはどう生きるか


■「君たちはどう生きるか」観た!

圧倒的パワー!

とても強い!

世界の秘密を教えてあげるよ!


■なんというかあれだ。

物語の創作者は自分の世界を持っている。

自分だけのファンタジー世界を持っている。


しかしそれを表現できるだけの技能がおぼつかず、

その自分の頭の中にある世界を十分に描ききれずにいる。

むしろ中途半端な力量でそれに挑戦すると、

見るも無惨な大惨事になる場合が多い。


■それを宮崎駿はやり切ったのだ。

幼い頃から見ていた夢の世界を

きっちりと描き切った。


そして完全に仕上がるとそれはもはや夢の世界ではなく、

現実との接点を持った非常にリアルなものとなる。

まるで現実とはこのような基底を持った存在なのだと、

錯覚してしまうほどに。


世界とはこういう仕組みで出来上がっていて。

それはワタクシ、宮崎駿が創り上げた世界なのだ。

まるで本当のような嘘を積み上げていくと

それはもはや真実でしかなくなる。


世界はこうやってできている。


■そうして私は理想の世界をこうやって

創り上げた。


どうだい?すごいだろう?


で、どうだ?


君はこれを違うというのか?


■だったら君は世界をどう創るのか?

まだ創り上げていないのか?

それは私の世界より素晴らしいものなのか?

ならば、それでいい。

早く見せてくれよ。


できないのなら。

私の世界が本当の現実の世界ということになるが?

それでいいのか?

君は、

君たちはどう生きるのか?


…みたいななー。


■俺はやり切ったが、君はどうなのか?

へなちょこのまま死ぬのか?

なんていう宮崎駿からの挑発なのですよ。


■映画のそこかしこに

これまでの宮崎アニメのオマージュというか

要素が散りばめられているのですが。

それこそが俺のワールドで、全てがここに、

って感じなので。

まるでもはや集大成なのですよね。


ここに世界が完成した。


■そこには彼自身の人間関係が全てブッ込まれていて

素っ裸の宮崎駿が居る。


あの世界の主の大叔父様は高畑勲だし。

そばに着く助けてくれるのか罠にはめるのか

サギの口から醜悪な顔を覗かせるのは鈴木敏夫だろうし。


通じ合えなかった母と父はそのままに。

というか82歳の老人が

自分は未だ少年の姿だというのが

なんともはや度し難い。


■そうして積み木のように世界を積み上げる。

それは創作の世界なのだが。

その力が大きくなればなるほど、

それは現実世界に影響を及ぼす。


ある時点でそれは逆転する。

強大な創作はもはや現実の世界にとって変わるのだ。


■高畑勲の創った世界には

美しい生と死があるが、魚があまり取れない。


宮崎駿の世界は

美しい自然と生命に溢れるが、

自分の子供のことはほったらかしで。

自分と少女とお姉さんと老婆しかいない。


自分の納得ばかりだ。


■その世界には宮崎駿のこれまでの映画の要素で構成されている。

「トトロ」や「ナウシカ」ほか全部。

それは十三個の積み木。


今回の映画で宮崎駿は二人の人間を救った。

高畑勲が創った「火垂るの墓」の

あの兄妹だ。


神戸の町を現代に至るまで成仏できずに彷徨っていた

あの二人を

この映画で完全に消化できた。

とんでもないことだ。


誰もが救えなかった魂を救った。


■さて、しかし。

大師匠とこ高畑勲はこれを見て

なんというかね?


褒めるのか

けなすのか。


それを想像すると面白いものだ。


ともあれ最高傑作で

ぶちのめされたよ!

早く自分の作品を創らなければーッ!!

ウヒー!



君たちはどう生きるか - スタジオジブリ|STUDIO GHIBLI



追記:そうだこれミヒャエル・エンデの
「はてしない物語」「モモ」の系譜だ。

あと、あの将軍みたいな人は庵野秀明かなー?


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