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2024年5月28日火曜日

【小説感想】三体 【劉 慈欣】

 ■話題になっていたのは知っていたが。

3巻まであり、それぞれが上下巻あるという膨大さから敬遠していた。

しかし、ついに読んでみたのだった。


■しからばこれが面白い!

いや、異様に面白いんですけど!

なんなのこれ!?


■中国の文化大革命からの

世紀をまたいでの

遥か未来の人類の行く末まで。

大きく長い時間を語り尽くす。


■人間はどう進化するのか。

この宇宙に地球人以外に生命はいるのか。

彼らと遭遇することはできるのか。

意思疎通はできるのか。

遥か彼方の星に人は旅することができるのか。


全ての答えがこの物語に書かれているのです。


■進化、進歩には科学技術の発展が重要で。

それはテクノロジーの進歩ではなく。

基礎的な物理学の発展が必要なのだということ。


そう、それはつまり現代の人類は

基礎的な世界の構造について

ほんの少ししか理解していないということなのだ。

まだまだ伸び代のある人類!

やったね!


■でも、そんな科学的物理的な頭でっかちな話ではなく。

めちゃくちゃドラマチックに

さまざまな事件が立て続けに起こって行って。

ハラハラドキドキ。

ビックリワクワク。


■新しい出来事で

状況が変わると

人間の価値観までもが

ぐわりと大きく変化してゆく。


正義だと思っていたものが悪になったり

悪だと思っていたものが正義になっていたり。

それが何度も繰り返す。

現代の常識なんて、今そうであるだけで。

未来永劫正しいものではないと叩きつけられる。


■今我々が理想として描いている未来を

ものの見事に破壊される。

それもきっちりと理論立てて。


逆にそれはちゃんと未来のことを考えているということなのだ。


■スターウォーズや銀河英雄伝説など

未来の世界を描いた物語は多いが

それらの多くが未来の世界に置いて

過去の歴史を焼き直していたりする。

過去にあった戦争を未来に置き換えているだけだったりするのだ。

それはもちろん歴史に学ぶと言うことなのだが。


■しかしこの三体は

新しい今とは違う価値観に置き換わった世界で

人はどういう行動をするのかシミュレートしている。


それが妙に説得力があって

そうなるんだろうなー、なんて思ってしまう。

それはないだろうー?

なんて荒唐無稽っぽい設定も

謎の説明力により現実に思えてしまう。


■こんなことを言うと

科学者的視点の冷たい話なのではないか?

と思う人もいるかも知れないが。

無茶苦茶熱い物語だし。

人間の業の全てが剥き出しで、

恐ろしく怖いし、

とんでもなく優しい。


■そう!登場人物みんな好きになる!

地球は滅ぶし、

宇宙は破滅する!

しかし、そこからまだ物語は続いてゆく。


とても大きな物語を語っているのに。

個人のたった一度の人生の話だったりする。 


1巻で宇宙への繋がりを感じ。

2巻で絶望と希望と大絶望を繰り返し。

3巻で綺麗に丸っとまとまって生命の輝きを感じる。


■はぁー、本当にとんでもなく楽しかったー。

これを読めば全ては安心です。

ここまで先のことを想定していれば。

大概のことは全て想定内だからです。

安寧ー。  


三体 (全6巻)


■そして途中途中で私の想像する登場人物を描いたのだった。

まだ実写ドラマ版見ていないので。

多分、私が小説から想像した姿とは違うと思うから。

忘れぬよう描いておいたのである。

葉文潔(イエ・ウェンジエ)

汪淼(ワン・ミャオ)

史強(シー・チアン)

羅輯(ルオ・ジー)

章北海(ジャン・ベイハイ)

程心(チェン・シン)

艾AA(アイ・エイエイ)

羅輯(ルオ・ジー)

トマス・ウェイド


#三体 mariouji

 

三体 (ハヤカワ文庫SF)劉 慈欣 (著)

三体 (全6巻)




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2024年5月27日月曜日

【京都旅行】伊根町の舟屋【2024 5/5】

 よく京都の写真で見る

伊根町の舟屋だ。

知ってはいたけど、

京都の海は遠すぎる。

今の今まで全然行ったことなかったのだ。

初めて!

そしてとても良かったですよ。

着いた。

これがそうか!

こんな感じなのかー。

良いですな。

あそこら辺から船が出るのだ。

湾になっているので波は穏やかなのね。

酒屋だったり喫茶店だったり。

きらりとひかる。

海だね。

島ですよ。

思ってたより結構多い。

お船。


漁師さんがやってる小舟の遊覧船みたいなのに乗ったのです。

養殖。

生活。

海沿いの家にはあまり実生活には使わなくて
奥の道路を挟んだ山側に住む用の家があると言うこと。

舟屋の2階は物置や作業部屋だそうだ。

かもめ。

心地よいぜ。

海の近くに住んでみたい欲求はある。

夏。

5月だったけど。

遥か彼方へ。

鯉のぼり。

魚。

山。

近くの神社。

おしまい!







2024年5月21日火曜日

【漫画感想】プリニウス

 


面白い。

物知りおじさん放浪記。


プリニウスは古代ローマ時代の博物学者で

割といいとこの生まれで軍人でもある。

そんな人が色々と自由に行動できる身分だったので

自分の好きな博物学に邁進し、

世界のあらゆる物を見て回ろうと旅をしたりする話だ。


歴史的には色んな大変なことが起こっているのだが

プリニウスはそんなこと知らねー、

自分の知りたいことをもっと知りたいんじゃ〜!

と、自由気ままに行動をする。

なので物語的にはこれといって凄いことは起こらない。

実在の人物であるから大体史実通りなのである。


しかし、それがなんとも面白い感じで読めてしまうのだ。


まぁいわば変人なので。


そんな人の行動を追って行くだけで楽しい。

そしてその当時の風俗や民衆の雰囲気、果ては政治的状況まで。

まるでそこにいるかのように感じられる。


NHKの大河ドラマでやると退屈になりそうだが。

動物観察ドキュメンタリーに近いのかもしれない。

我々はプリニウス氏を生涯に渡って密着取材を敢行した、

みたいな。


解説にも書いてあるのだが、

博物学と言っても当時の最先端であるだけなので。

現代からしたら全然嘘の

伝説や民話的な想像の生き物や言い伝えを記録してある。

しかし、その当時にはそれは本当だったのだ。


それは回り回って現代を生きる我々が

現代に知られていることは全て真実である、

と思い込んでしまうことに近い。

未だ、人類が知らないことは山ほどあるのに。

過去の人より賢いつもりになってしまう。


まぁ、なんというか知識欲と好奇心の塊のような人で

嫌いになれない人物なのですよね。

周りの人は振り回されるのですが。

そういう人はいてもいい。

というかいた方が良いんですよね。

なぜなら世界が面白くなるからです。

世界が面白くなって困ることなど無いですからね。


そんな彼の最後は火山の調査に出向いての死。

みんなやめとけって言ったのに。

そんなところも彼らしい。

とても魅力的な人物ですよ。

楽しい漫画です。


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2024年5月19日日曜日

【音楽感想】Dostrotime スクエアプッシャー【SQUARE PUSHER】

 


スクエアプッシャー実は全然知らなくて。

電気グルーヴからのテクノ関連でなんとなく存在は知っていたけど、

ちゃんと聞いたことはなかった気がする。


今回なぜか配信なしのCDのみ販売という話を聞いて

なんか気になって買ってしまった。


しかし、これが大正解!

とても良い音楽でした!

一人でやってるテクノ的な電子音楽なんですが。

普通に音楽的素養が高い感じがする。

むしろジャズに近い音楽なのではなかろうか?


ジャズは集団の即興的音楽でお互いの演奏に刺激を受け合って変化します。

彼はそれをひとりでやっています。

一つの楽器の演奏をどんどんと自由にやっていき。

それに呼応する違う楽器のメロディーを思いついてゆく。

さらにそれが次の楽器に渡ってゆき、また戻ってきたりする。


それを打ち込みによる制作でやっているので、

ジャズならば瞬間の判断でやるところを

無限の時間をかけることも出来る。

じっくりと彼の脳内で絡み合い圧縮された音楽は完成品で開放されます。

無限の時間が少しの時間に凝縮されている。

その少ない時間にさまざまな判断と感情とエネルギーがある。


なのでそれは濃密だ。

しかも音圧が凄い。

音符もものすごく細かい。

圧倒的パワーがある。

なのに繊細で緻密。


だから体調が悪い時や精神が疲れている時に聞くと良くない。

何も頭に入ってこないし、ただのノイズに聞こえてしまう。


体調を測るバロメーターとして優秀。


なので体調が良い状態で聞くと染み入ります。

世界の全てがこのアルバムに入っているのではないかと思えるほどに。


森羅万象、地球の歴史、人類の全ての行い感情が。


それは言い過ぎだ。




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極楽京都日記: 【音楽】Wintergatanウィンターガタン【#music】  

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【映画感想】ゴジラxコング 新たなる帝国


 めちゃ良かったです!

もう暴力的な面白さ!

ふざけてないんですよね。

真っ当にパワーを積み上げている。

トランスフォーマーと龍が如くをゴリラでコーティングした感じです!?

しかし浜ちゃんゴリラ頑張った!

西〜ゴジラの山〜、

東〜コングの海〜!

相撲!


監督や脚本の人はシン・ゴジラとシン・ウルトラマンを見た上で

「それやったら俺らはもっとやれるぜ!見せてやるぜ〜!!」

みたいな心意気を感じた。


これどういうシリーズでしたっけ?

髑髏島とキングギドラとか出たやつとか

色々あったと思うけどほとんど覚えていない!

見たはずなのに!

いや、しかしこれはシリーズが進むごとに

パワーアップしている!

全然失速していない!


本当に笑ってしまうほどに楽しい!

キングコングやゴジラの暴力としてのパワーだけでなく。

映画のパワーがもはや暴力的なのだ!

ずっと楽しいし、

登場人物も気持ちの良い奴ばかり、

嫌な奴が出ようものなら

すぐに怪物に喰われます!

スッキリ!


もう内容は極道映画で

組事務所を襲撃したり

ボスの座を奪ったりします。

ゴリラが。


一匹狼の流れ者。

訳あって助太刀致す。


いや、流れゴリラと流れゴジラなんですけど。

二人とも正義の味方では無いんだけど、

結果困ってる人を助けちゃう。

街を無茶苦茶に壊したりはするのだけどね。


そしていがみ合っていた

コングとゴジラが共闘!


もちろん二人ともいっさい人間の言葉を喋らないし

モノローグ的にセリフがついたりもしない。

グオオオ!とか

ウホウホ言ってるだけなのに

彼らが何を言っているのか分かる!

理解できる!


あー、とても楽しい!

そして熱いバトル!

サイコーですな。

超スッキリ!


祭りだ!祭りだ!

わっしょいしょい!



映画『ゴジラxコング 新たなる帝国』公式サイト




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