■話題になっていたのは知っていたが。
3巻まであり、それぞれが上下巻あるという膨大さから敬遠していた。
しかし、ついに読んでみたのだった。
■しからばこれが面白い!
いや、異様に面白いんですけど!
なんなのこれ!?
■中国の文化大革命からの
世紀をまたいでの
遥か未来の人類の行く末まで。
大きく長い時間を語り尽くす。
■人間はどう進化するのか。
この宇宙に地球人以外に生命はいるのか。
彼らと遭遇することはできるのか。
意思疎通はできるのか。
遥か彼方の星に人は旅することができるのか。
全ての答えがこの物語に書かれているのです。
■進化、進歩には科学技術の発展が重要で。
それはテクノロジーの進歩ではなく。
基礎的な物理学の発展が必要なのだということ。
そう、それはつまり現代の人類は
基礎的な世界の構造について
ほんの少ししか理解していないということなのだ。
まだまだ伸び代のある人類!
やったね!
■でも、そんな科学的物理的な頭でっかちな話ではなく。
めちゃくちゃドラマチックに
さまざまな事件が立て続けに起こって行って。
ハラハラドキドキ。
ビックリワクワク。
■新しい出来事で
状況が変わると
人間の価値観までもが
ぐわりと大きく変化してゆく。
正義だと思っていたものが悪になったり
悪だと思っていたものが正義になっていたり。
それが何度も繰り返す。
現代の常識なんて、今そうであるだけで。
未来永劫正しいものではないと叩きつけられる。
■今我々が理想として描いている未来を
ものの見事に破壊される。
それもきっちりと理論立てて。
逆にそれはちゃんと未来のことを考えているということなのだ。
■スターウォーズや銀河英雄伝説など
未来の世界を描いた物語は多いが
それらの多くが未来の世界に置いて
過去の歴史を焼き直していたりする。
過去にあった戦争を未来に置き換えているだけだったりするのだ。
それはもちろん歴史に学ぶと言うことなのだが。
■しかしこの三体は
新しい今とは違う価値観に置き換わった世界で
人はどういう行動をするのかシミュレートしている。
それが妙に説得力があって
そうなるんだろうなー、なんて思ってしまう。
それはないだろうー?
なんて荒唐無稽っぽい設定も
謎の説明力により現実に思えてしまう。
■こんなことを言うと
科学者的視点の冷たい話なのではないか?
と思う人もいるかも知れないが。
無茶苦茶熱い物語だし。
人間の業の全てが剥き出しで、
恐ろしく怖いし、
とんでもなく優しい。
■そう!登場人物みんな好きになる!
地球は滅ぶし、
宇宙は破滅する!
しかし、そこからまだ物語は続いてゆく。
とても大きな物語を語っているのに。
個人のたった一度の人生の話だったりする。
1巻で宇宙への繋がりを感じ。
2巻で絶望と希望と大絶望を繰り返し。
3巻で綺麗に丸っとまとまって生命の輝きを感じる。
■はぁー、本当にとんでもなく楽しかったー。
これを読めば全ては安心です。
ここまで先のことを想定していれば。
大概のことは全て想定内だからです。
安寧ー。
■そして途中途中で私の想像する登場人物を描いたのだった。
まだ実写ドラマ版見ていないので。
多分、私が小説から想像した姿とは違うと思うから。
忘れぬよう描いておいたのである。
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