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2019年10月15日火曜日

【小説感想】令和元年のゲーム・キッズ 渡辺浩弐


■ショートショート小説、いわゆる短編集である。
短いページ数で書かれる物語の世界は
私たちの現実とほぼ同じ世界なのだが、

この小説ではひとつだけ違うことがある。

■社会が不安定になり、
あらゆる問題が山積みになり、
解決策も見いだせず、
不況の連鎖が止まらない。

ここまでは現実と同じだ。

■そこでこの世界では画期的なアイデアを実現させた。
これによって全ての問題は解消される。
きっと世界は良くなっていくことだろう。
なんて素敵!
なんて素晴らしい施策!

■それはたったひとつの法案。

「人の寿命は50歳までとする」

たったこれだけのこと。
これだけのことで世界は素晴らしくうまく回り出した。

■え?寿命50歳ってどういうこと?
自動的に死ぬってこと。

いやいや、50歳になると処理センターに向かい処分されるということです。

はぁ?殺されるってこと?
そんなの嫌だよ!

でも、そうした方が世界は良くなったんだよね。
でも、死にたくないよ!

■ならば、君が50歳を過ぎても本当に
社会にとって害ではなく
益をもたらすと証明しなければならない。

いや、でも、そんな、生きるなんてのは当然の権利なんじゃないか?

それが周りに多大な迷惑をかけててでもか?
自分が生きるために周りを不幸な思いをさせても
生き続けていたい?

■…なんて、ことを言うと
なんだとー!老人をないがしろにする世界なのか!
なんて思いがちですが。

そこらへんもこの作者
バランスよくこの世界に思考実験に挑戦しているのです。

■若者が良くて、老人が悪い。
そんな単純ことでは終わらない。

結局は自分のことしか考えない者が
ドツボに落ちると行った感じでしょうか。


■ともあれ、この小説をきっかけに色々考えてみると面白いのですよ。

人はなぜ生かされているのか。
人生とはなんのためにあるのか。
歳をとるとはどう言うことか。
親と子の関係とはどうあるべきか。
何を残せるのか。
何を受け取って、次世代に繋いでいけるのか。

■50歳で死ななければならない世界。

その最後が分かっている人生であれば、
そこから逆算してやるべきことが分かってくる。
意味のある人生が見えてくる。

■逆に、いつ死ぬかわからない。
いつまで生きるかわからない。
終わりの見えない人生を生きていると。
ぼんやりと、なんとなくな人生を
過ごしてしまうのかもしれませんね。

■まぁ、さておき。
良い感じで意外な展開を与えてくれる短編集なので。
あなたのぼんやりとした人生に
ピリリとした刺激を与えてくれるかもしれません。

あなたの寿命はあと何年ですか?

あなたの生きる意味とは?



■あ、そうだ。そしてこの小説
ネットの生放送で書かれた作品なのです。
小説の執筆をネットでライブ配信して出来上がった作品なのですよ。

ある程度ネタの中心は事前に考えてある感じでしたが。
文章自体は生中継でそのまま書かれていくと言う感じで。
小説家志望の人は興味深く見れるのではないでしょうか。

「令和元年のゲーム・キッズ」と言うタイトル通り
令和の始まった2019年5月1日からひと月ほど
毎日短編を一話完成させていっていました。

私も結構見てたのでエキサイティングでしたよ。
とても面白い。









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