■ヴァイキングが居た時代のヨーロッパ北欧地域。
戦争、略奪が当たり前の世界の中で、
たったひとり人の争いをなくそうと動く人間が主人公だ。
とは言っても世界の戦争をなくす、とかではなく。
せめて自分は人を殺さず、話し合いで解決出来ないかと奔走する。
■と言われてどうだろうか?
そんなお花畑みたいなこと言って
無理に決まってるだろ?
なんて思ってしまったのではなかろうか?
■などと言いつつも、そう思い始めたのは青年になってからで、
幼少期の主人公トルフィンは殺された父親のカタキを獲るため。
ヴァイキングの仲間になり、復讐を果たすために。
強くなるため、生き残るため、人々を殺しまくるのだ。
■それは別に当たり前のことで
世界がそうなっているのだから、
そうしなければ自分が殺されてしまう。
仕方のないことだ。
■しかし、その殺してきた人たちは夢の中に現れる。
起きている時も背後にベッタリとついてくる。
どんなに言い訳をしても罪悪感は拭えない。
■そうして彼は戦いに疲れ果て、
ついには戦争の無い世を目指すのだが。
そんなことを考えているのは
世界でたったひとり彼だけだ。
多数決で言えば、
人殺しはやって良いこととなる。
だってほとんど全ての人間が
戦って奪うことを認めているのだから。
■そんなわけは無い!
と現代に生きる私たちは思うだろうが。
そうか?現代でもみんな
「仕方ない」と人殺しを容認してるのではなかろうか?
■もちろん積極的な戦闘狂ってのも居る。
戦いそのものが大好きで。
それこそが人生の生き甲斐だ!
ってな人。
まぁ、いるはいるのだが、多分これは割合少ない。
一定数いるのだけれど、それほど多いわけでない。
■では、その他の人たちは戦争に反対か?
といえばそうではなく。
周りがそうやっているんだから、
戦って勝ち取るのは素晴らしいことではないか。
たまに家族や仲間が殺されるのは悲しいけれども、
仕方のないことではないか。
■延々と「仕方の無いことだ」と言う言い訳を
全ての人が言う。
世界の仕組みは自分たちには変えることはできないから。
人を殺すことも仕方の無いことなのだ。
■多くの人間が世間の空気に流されて
人殺しを容認している世界なのだ。
今も昔も。
俺の家族を殺す奴は、悪い奴だから殺しても良い。
そして向こうも同じことを思う。
私から奪おうとする奴は、悪い奴だから殺しても良い。
■たったひとりの主人公トルフィン、
戦争を無くして平和な世界を作ろうとする人物を描くために。
それ以外の人物、人殺しをさまざまな理由で容認する人たちを
大量に描いている作品なのだ。
その中に私もあなたもいる。
■今、日本では死刑が認められている。
そしてほとんどの人は死刑制度に反対していない。
つまり悪いやつは殺してもいい、
と思っているのだ。
そう、あなたも私も人殺しなのだ。
■読もう!ヴィンランド・サガ!
堂々の完結!
素敵ですわよ。
嫌なこと言ったけど、
とても爽やかで清々しいラストでしたよ。
あなたが本当に平和を望むのなら。
さぁ!
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