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2022年6月30日木曜日

【短編小説】ブカン旅行タイムマシン

■えーオホン。

ん…ゲホッ、ゴホッ!

んが、が!

あー、あ、あ。


いや、すまない少しむせてしまった。

録画を続ける。


まずは自己紹介をしよう。

私はタイムトラベラーだ。

そう!私はついにタイムマシンを発明した!

時間旅行を可能にする機械装置、

タイムマシンだ!


現在は202X年、困ったことにコロナウイルスの感染は未だ続いている。

君のいる現在はどうだろう?

私からすると未来の君の現在だ。

多分、感染拡大は収まっているはずだ。

いや、もしかするとコロナウイルスという存在自体を知らないのかもしれない。


勘の良い君は気付いたかな?


そう、私はタイムマシンを使って

コロナウイルスを消し去って見せようと言うわけだ。


私はこれを使って

2019年の中国は武漢の研究所に向かう!

発生源から抑えてしまうという作戦だ。

どうだい?素晴らしいアイデアだろう?


それでは行って来る。

期待してくれたまえ!

録画を終了する。



■えーオホン。

ん…ゲホッ、ゴホッ!

んが、が!

あー、あ、あ。


いや、すまない少しむせてしまった。

録画を開始する。


久しぶりだね。

私は今、2019年の中国は武漢の研究所にいるわけだ。

ここでウイルスの発生源を抑え、

それを処分してしまえば、

未来は変更され、

健康的な我々の生活を取り戻すことが出来る。


…はずだった。

いや、困ったことになったのだ。


■それがいくらこの武漢の研究所を調べても

それらしいものは出てこなかったのだ。

全くもって普通の研究所であり。

特別におかしなものは出てこない。

秘密の部屋が隠されているわけでもない。

おかしい。

ここでは無かったのか?


■いや、実はおかしいのは私だと気づき始めている。


どうも体調がおかしい。

熱っぽく、倦怠感がある。

咳が止まらず、喉の痛みがある。

頭痛がし、呼吸が苦しく、息切れがする。



…勘の良い君は気付いたかな?


そう、私はタイムマシンを使って

過去に来る前に

コロナウイルスに罹患していたというわけだ。

潜伏期間を経て発症した。


そのままこの過去の世界で

意識不明となった私を

親切な研究所の人は介抱してくれた。


■しかし、もはや手遅れだ。

私が咳と共にばら撒いたウイルスはこの研究所に拡散した。

原因不明のウイルスが突然発生したのだ。

彼らには訳がわからないだろうな。

止める術もないだろう。


そう、コウモリなどでは無かったのだ。

世界をパンデミックの混乱におとしめたのは

この「私」だったのだ。


なんてことだ。

まぁ、しかし辻褄は合うのかな?

どうだろう?


しかし、いったいどうすれば良かったのか。


これは本当はどこから始まったのか。

結局わからないでいるのだ。


この映像を見た未来の君は

直ちに武漢の郊外にある洞窟を調べて欲しい。

そこにタイムマシンを隠しておいた。


あとは君に託す。

頼んだよ。


では、さらばだ。


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