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2024年2月11日日曜日

【小説感想】シャーロック・ホームズの凱旋


■なんという爽やかな読後感!

森見登美彦の全てが入った集大成と言っても過言ではなかろう!

いや、過言かも。

まぁ、とにかく面白かったということであります。

タイトルや紹介文から漂うトンチキ臭!

まさにそれはそれなのだが。

そこから想像する想定を

軽やかに飛び越えた物語が広がっていったのです!


■舞台はヴィクトリア朝京都。


どこだよ!


謎の京都とロンドンが混じったような町に

名探偵ホームズは暮らしていた。

寺町通221Bに住んでいた。


ってなんだそこは!


■しかもホームズさんはスランプだという。

何も事件を解決できない。

確かにあったと思えるあの頃の才能の煌めきはどこに!?


というところで森見登美彦、

作者本人もスランプ状態があったので

その体験がきっちり反映されているし。

相棒のワトソンは彼の活躍を小説にして書いているという、

小説家が小説内部に現れる。

こちらにも作者の影が現れる。


■しかし前半のわちゃわちゃ感は

作者お得意の京都のボンクラ大学生の感じであり。

スランプから抜け出せない

ホームズの詭弁をとても愉快に楽しめる。


■そしてここはロンドンの

本物のシャーロック・ホームズの物語のパロディであり

並行世界的存在なので

そちらに出てくる登場人物たちが現れ。

あちらで起こった事件と似たような事件がこちらでもある。

そういう感じで愉快なホームズのガワを借りた

二次創作的面白小説なのだなぁ、


なんて思っていたらトンチキチン!


■これまた作者のお得意であり

ボンクラ大学生小説の反面的な存在である、

幻想小説のイメージが侵食してくるのだ。


■おやおや、これはいったいどうなるのか。

ホームズは言う

「この世には解くべきでない謎、いや、解く必要のない謎が存在する」


世界の裏と表、

物語世界と現実世界。

小説に書かれる人物と

小説を書く人物。


誰も自分が小説の登場人物なんて自覚することはない。

自分では分からないと言うこと。

つまり、これを読んでいるあなたも

物語の中の人物ではないとは言い切れない。


■そして物語には終わりがある。

かといって人生にも終わりがある。

それは何か大きな仕組みで動いているのかもしれない。

世界は私たちが思っているより

ずっと面白いのかもしれない。


■そんなことを思ってしまいましたよ。

最高。

イェイ!



シャーロック・ホームズの凱旋 (単行本) 




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