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2024年1月27日土曜日

【映画感想】窓ぎわのトットちゃん


■「窓ぎわのトットちゃん」無茶苦茶良かったー!

大人の望む理想の子供がいっさいいないってのが

これほど嬉しいことだとは!

最初っからずっと泣いていた。


物語にありがちな仕草がないことが

こんなにも心地良い!

他人の支配や強制を取り除く人たち!

ひねくれ人間は絶対見ると良いよ 


■こんなことしたら大人は嫌がって

そういうことをするんじゃありませんって

怒るんだろうなぁ、絶対こっちの方が楽しいのに。


てな展開が起こりそうな時に

すべてそうならないのだ!


■そういうありがちなところで

視聴者のフラストレーションを溜めて

後で爆発させてカタルシス!

みたいなことをいっさいしない!


■子供にガッツリ向き合う。

しかも優しさとか

上から目線の庇護感で向き合うのではなく。

普通に同じ人間として、

友達くらいの対応をしてくれる。


もう、それだけで泣いてしまうのよね。


■トットちゃんは問題児として転校して

特別学校みたいなところに行くのね。

トットちゃんは多分今でいうところの

発達障害やADHD(注意欠如・多動性障害)なのよね。

うまく言えば天真爛漫。


■そんな人間でも別に問題なく生活できるはずなのだけど。

でも社会は同一的な人間を求めるのね。

同じように行動する人を求める。

それはその方が楽だから。


対応が画一的でマニュアル通りにすればいいから。

だからその範囲に収まらない人間を嫌う。

相手が子供であれば

「それはダメ!こうしなさい!」

と強要する。その方が楽だから。

「それは何故なの?どうしてそうする方がいいの?」

と尋ねても。

「そう決まっているんだから、そうなの!言われた通りにしなさい!」

ってな思考停止の言葉が返ってくる。


そんなシーンが全くないのだ!

素晴らしい!


■自由、それは無秩序ではないのだ。

逆に秩序を作るときに恐怖を与えるのなら

それは支配というものだろう。


皆、無自覚に自由による暴動を恐れ。

支配による閉塞を求めてしまう。

子供を教育するときに罰という恐怖を与えがちだ。


■そんな前提の中、

トットちゃんの真っ直ぐ世界を楽しむ心が

とても輝いてキラめいてニッコリしてしまうのだ。


本当に輝きしかない。


それも大人の望む理想の子供らしさではなく。

あぁ、そう言えば子供の頃はあれが楽しいことだったのだ。

そう思い出せるような喜び。


■なので戦時中になり

雨の中ですれ違った兵隊さんに

「コラッ!呑気な歌を歌っているんじゃない!」

と叱られた時、とてもとても悲しかった。

地獄のような悲しみだ。

世界が恐ろしい。

立派な大人がその恐怖を正しいことだとしている。


■現代の多くの人戦争に反対だと思うが。

この当時は多くの戦争に行かない人は

戦争に賛成していた。

戦争に負け始めて生活が苦しくなってから、

ようやく戦争に反対し始めたくらいである。

それでも戦争に勝てれば良い暮らしが出来ると思ってのことだ。


■トットちゃんはそんな中


「知ったことかーッ!!」


と日々の輝きを謳歌するのである。

なんでお前らの勝手な常識で

私たちの輝きを奪うのか!

邪魔をするな馬鹿!


そんな感じ。

とても嬉しい。


■予告編で見ていた、登場人物全員に口紅やチークがあるの気持ち悪いなぁ、

なんて思っていたが映画全体では全然気にならないところだった。


■そして感動ポルノ的なやっすい御涙頂戴なんでしょ?

なんて思っていたことも全然違った。


俺の輝きで世界を浄化してやる!

くらいの目の座った情念のある映画だったのだ。

とても力強い!


映画『窓ぎわのトットちゃん』公式サイト



窓ぎわのトットちゃん 新組版 (講談社文庫) 


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