公開は1983年、
それがなぜか2020年の現代にリバイバル!
なんで?
当時はあまりに凄惨な映像に批判が殺到し
早々に打ち切りとなり収益も惨憺たるものだったらしい。
■そんな世界に衝撃を与えた映画だと言うことで。
ビビりながら見たけど
ちゃんと映画として面白かった。
「時計仕掛けのオレンジ」のもの凄く泥臭いバージョンって感じ。
主人公で殺人犯はとても一生懸命。
本人は計画的なつもりだけど無計画。
快楽でもなく使命でもなく、
やるべきだ、と思ってしまう。
ずっと本人視点なのがとても良い。
■多分現代のホラーとかサスペンスに慣れている人は
物足りないくらいに感じてしまうと思う。
その当時「精神鑑定」とか出始めたころで。
殺人なんてものは恨みや怒りの衝動であるはずだと
多くの人が思っていて。
だからそれをコントロールすれば殺人なんて起きない。
憎しみに取り憑かれている人も
説得すればわかってくれるはず。
そう、思っていたのだと思う。
■だけど、この彼は食欲、性欲、睡眠欲と同じように。
殺人欲を持っていた。
本能的な欲望なのでやらずにはいられない。
食欲を放棄して食べずにいたら人間は死ぬ。
この彼もそのレベルで殺人を欲求として持っているのだ。
■しかし、1度目は母を刺し、2度目は突然訪れた家で銃殺。
合計10年近く刑務所に入るが。
その中ではちゃんとおとなしく収容されているのだ。
そこではコントロール出来てた。
いや、出来てるはずだと思っていたが。
出所した瞬間から強盗殺人を犯してしまう。
しかも仮出所の3日間にだ。
■それは本人にも止められない衝動。
そして笑えるほど無計画!
なのに本人は「完璧な計画が出来た!」とうっとりしている。
もちろん計画通りにはいかないので
「なんでこんなことに!?」
と動揺する。
その繰り返し。
■もうどんどん失敗をしてそれを取り返そうとして
ドツボにハマっていくんだけど。
何か異様に前向きで行動力が半端ないんですよねー。
興奮状態もあってか無茶苦茶働くんですよー。
もう汗だくで息も絶え絶えなんだけど
興奮のパワーの後押しでガンガンやり遂げてしまう。
■全てが間違っているのだけど。
彼はそんなことは全く思っておらず。
新しい発想が次々と浮かんできては
成功する自分を想像して。
とても楽しい気持ちになってゆくのです。
■それらが延々の彼のモノローグで語られて言って
支離滅裂でありながら本人の中では整合性のある理論を
延々の観客は聞かせられる。
他の人物のセリフも極端に少ない。
前半は彼の歩く靴の音だけが
延々と鳴っている。
エンディングではそれが水滴の落ちる音に変わる。
■映像もなんだか柔らかい色で詩的な心地よさを感じました。
映画的に観客を誘導したり、驚かせたりを全然しない。
伏線もカタルシスも何もない。
だけどジッと見てしまう。
途中までこれ役者じゃなくて
殺人犯本人のドキュメンタリーなんじゃないか?
と思ってしまうほど。
彼の心に寄り添っているのです。
なので、怖い。
気持ちがわかってしまいそうで怖い。
■あ、でも犬が可愛かったですよ。
これはもう本当に可愛かったので。
みんな見にいくと良いですよ(満面の笑みで)
■そうなのです、
人の気持ちを理解するということはそういうことだ。
殺人犯の気持ちが理解できない人は、人の気持ちが理解できない人だ。
しかし、そう思うのが嫌なので
多くの人は
「あいつは人間じゃない」
なんて言いがち〜。
怖いですね。
うふふ。
■あー、ヤンキー漫画とかよく読む人は
理解が早いかもしれません。
田中宏「女神の鬼」とか思い出しました。
カッコイイ悪ではなく。
どうしようもない性分。
■悪夢で追いかけられる夢ってあるじゃないですか?
あれとても怖いけど。
追いかける方も結構疲れるよな、
なんてことを思ったり。
■そして、見終わったあと異様にお腹が空きます。
劇中に出てきたデッカイソーセージ食べたくなりますね。
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映画「アングスト」ビビりながら見たけどちゃんと映画として面白かった。「時計仕掛けのオレンジ」のもの凄く泥臭い版。主人公で殺人犯はとても一生懸命。本人は計画的なつもりだけど無計画。快楽でもなく使命でもなく、やるべきだ、と思ってしまう。ずっと本人視点なのがとても良い。 pic.twitter.com/BZXESu7wIe— 内海まりお UTUMI Mario (@mariouji) July 24, 2020
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