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2019年6月29日土曜日

【漫画感想】フルーツバスケット(高屋奈月)を読んで混乱している私。


■漫画「フルーツバスケット」全23巻
少女漫画界に燦然と輝く名作である!

…そうらしい、
と聞いた。
以前、同人誌即売会でこの漫画のファンの子が
自分たちでアフレコした音源を売っているの見たことがあったので
あの熱量は凄いな、と思っていたものだった。

■しかし、私はおっさんなのである!中年!いやもはや初老と言って差し支えないだろう!
少女漫画は昔、妹が持っていた漫画雑誌をチラチラと見てそれなりに楽しんでいたのだが、
少女漫画単行本自体はほとんど読んでいない。
でも、「ハチミツとクローバー」とか楽しく読めていたので
これも楽しめるだろうと思っていたのだが!

だが、しかし!

■ん…よくわからない…?
いや、違う!
内容は理解できる!
でもなぜかぼんやりとした気持ちになって
船酔いをしたような、脳がはんなりと熱を持つような、
そしてぐるぐるとしてしまい、思考が停止してしまうのだった!

■い、いや!違うんだ!
凄く良いのはわかるんだ!
特に人の気持ちや感情を細やかにそして確実に描写している!
しかも、あらゆる状態の感情を網羅している!
それも対立するどちらかの感情に一方的にならず。
平等に表しているのだ!

■その言葉やシーンは名言集として集めても良いほどに
人間の根本的な中心を表現していると言って
過言ではないだろう!

■でも、私はなんかぼんやりと読んでしまうのだ。
そして多分そうではないところで笑ってしまったりしてしまうのだ。

なッ!なんでやーーッ!!!

り、理解が出来ないんだよーーー!

どてんばたん!

ズドーン!(銃殺!)
「し、死んだか?」
むくり…(蘇り)
「ギャー!」


■いや、いや落ち着こう…
実は読む途中でわかってきていたのだ。
これは男女の認識の差が生む齟齬なのだと!

アレなんスよ。

■女の人がオチの無い話を延々して
男が「で、それオチは?」と聞くと

「ハァン?そういうことじゃ無いでしょ!?あなたは私の話を黙って聞いて、
 所々に相槌を打って、私の心に寄り添って、
 私の感情に共感してくれるだけでいいのよッ!」

「えぇーー!それは苦痛!」
「なんじゃとー!ぶっ殺す!」

って言う最近よく聞くアレなんスよ。

■男は話の内容を聞いて問題が発生しているのなら解決策を出したい、分析したい。
な感じなのだけど。
女はただ心に寄り添って、感情に共感するだけでいい。
ってやつ。

男は二人でいる時の無言の静けさに安心を得るが。
女は二人でいる時の会話量によって幸せを得る。

■なのでこの漫画は感情に寄り添って
感情の波をサーフィンするように
共感し、乗りこなしていけばいいのだけど。

しかし男はそれが不慣れ!
なんか朝食にご飯と味噌汁とイチゴショートケーキとモンブランが
出てきて
「ね、美味しそうでしょ?」
と言われる感じなのだ。

…よくわからん例えだ!

ケーキバイキングに不慣れな男子だと思っていただきたい!

■そしてこの漫画は別にケーキの様に甘ったるい話でもない。
恋愛とかは控えめな、本当に心の悩み。
分かり合えない心を繋ぎとめていく
素敵な物語なのです。

■なのに、分からない!
いや、わかるんだけど。
ぼんやりとしてワナワナとしてしまう。
不合理!
理屈が通らない!
いや、理屈は通っているんだろうけど。
馴染みのない理屈なので
ぼんやりとしてしまうのであった!

いったいどうすればいいんだー!

どてんばたん!

ズドーン!(銃殺!)

…むくり。


■んで、この物語は
両親を亡くした女の子が
「呪い」に掛けられた一族の者たちの
心の闇に触れ、その閉ざした心を溶かしてゆく。
みたいな感じなのだけど。

■その感情面、心の動きの描写の精密さに比べて
背景や、行動についてはうっすらとした描写なので、
そこらへんのバランスが少年漫画とは真逆の比率なのかもしれない。

少女漫画は
感情9:出来事1
くらいで
少年漫画は
感情3:出来事7
くらいの気がする。

つまり少年漫画ではどういう事件が起こって
どういう行動をしたかが重要であって
そしてその行動自体が感情の表現になっている。

少女漫画は事件、行動については
感情のきっかけに過ぎず
そこを精細に描く必要はなく記号的に描かれる。
それよりかは、そこからどう思ったかを
モノローグを多用して緻密に描かれる。

解像度が高い部分がどこかって感じなのかもね。
そしてこういう分析をしていると
女子から嫌われるっぽいぞ!

ふんぎゃー!

バスーン!(銃殺!)


■フルーツバスケット。
冒頭、少女はテント暮らしをしている。
え?テント暮らしをしている?
お風呂とかどうしてんの?
そのまま学校に通ってるみたいだけど
着替えとかどうしてんの?
荷物大量にならない?
え?パジャマは持ってるんだ。
え、あ、うん。
そこはあまり突っ込まなくていいのね。

で、でも気になるんじゃーい!!

■そしてその少女は偶然森の中のお屋敷へ迷い込み
なんやかんやでそこに住まわせてもらうことになる。
そこに住む青年と少年は「草摩家」の者で
草摩家には呪いが掛かっており
異性に抱きつくと動物に変身してしまうのだったー!

■ほほぅ、そうかアレだな「らんま1/2」みたいな感じで
その変身能力を巡ってバレるバレないのドタバタがあったり
能力を使って事件を解決したりするのだな。

とか思ったら冒頭何回かはその変身するシーンあったけど
それ以降は特に変身することもなく
その能力を有意義に使うこともなく
後からその呪いに掛かった人はいっぱい出てくるんだけど
そこらへんに至っては変身シーンさえほとんどないという有様!

えー!なんでなん!
絶対それを絡めたエピソードありそうじゃない!
なんでないんですかー!
え、あ、うん。
そこはあまり突っ込まなくていいのね。

で、でも気になるんじゃーい!!

はぁ、はぁ、はぁ。
つ、疲れてくるぜ。

■そしてその少年のライバルみたいなのが登場するんですけど
屋根を蹴破って登場するんですよ!

ど、どどどどどういうことなのーーッ!!?

トタンのあばら屋とかでなく日本家屋の立派な屋敷なんですよ?
多分2階の屋根を蹴破って登場するんですが
瓦とか柱とか突き破って入ってきてるんですよ?
しかし、具体的な描写はそこにはなく
なんとなくドーンと入ってくるんですよね。

なんでなのーーーーッ!!!?

いや、わかってきましたよ。
そこはなんとなくの事象ということで
記号的なシーンとしてスルーすれば良いのですね。

で、でも気になるんじゃーーい!!

■そんな感じで
時々バトルシーンとかアクションシーンとかもあるのですが。
絵だけを見ても何をどうしているのかよく分からない場面が多くて、
前後のセリフとかで類推していく感じなのです。
なのでそこはなんとなく
バトルシーンがあって二人がいがみ合っているとかで
行動よりも感情を拾っていけば良い感じなのだと
分かってきました。

不思議な漕ぎ方をする自転車の乗り方を学んでいく感じです。


■でも、そこが逆に良かったのは
イジメシーンとか
親から酷いことを言われるみたいな所も
行動としてのところはスパッと簡潔に語られていて
割と直ぐにその解決の感情が訪れるってとこでしょうか。

ここら辺は逆に少年漫画の方がウジウジと語りそうです。

■そんでその「草摩家の呪い」ってのは「十二支」になぞられていまして
十二人のキャラクターがいるんですよね。
それはもう個性がふんだんに分かれていて
読者は、私は誰が好き、この人の気持ちがよく分かる、とかあったことでしょう。

しかし、男の私から見ると
「全員面倒臭い性格をしておるーーッ!!フギャー!!」
といった感じで

この漫画を借りた女の子からは
「それぞれに心の闇を抱えた男の子たちなんですよー」
とか説明を受けたのだけど。

その心の闇はうっすいわー!
ムッチャ明るい心の闇やんけー!
行け!悟空!
みんなぶっ殺しちまえ!
「オッス!オラ悟空!」
と突然フルーツバスケットの漫画内に
ドラゴンボールの悟空を登場させて
かめはめ波で街ごと吹き飛ばしたりしてました。

「するな!」
「…だって」
「だってじゃない!」
「…すんません」

■あと、十二支なんで鳥の人もいたんですが
別段空を飛んで何かをするってこともなかった。

■それとやっぱり背景の描写が簡潔というか
絵自体がシンプルなのは気にならないのですが
場所がいったいどこにあるのかよく分からなくて
なんか気持ちがフワフワしてしまいました。

家があって学校があって十二支それぞれの家があって
草摩家当主の大きなお屋敷とか病院、お墓とかあるんですが。
全部、徒歩圏内に密集している感じなのですよね。
特に当主の屋敷はちょっと遠くにあるんだろうなぁ、とか思っていたら
最後に当主が彷徨って徒歩で現れたので
「近かったんや!」
とビックリ。

んで最後の方で崖から落ちてしまうシーンがあるのですが
「え?そこに崖とかあったの!?突如現れる崖!な、ナンデー!??」
とかでドビックリ。

いや、だからそういうところはスルーする能力を身につけないといけないんやー!!

オ、オラにパワーを!

■あと結局、草摩家がいったいどういう家業をしているのかが不明で
どこからお金が出ているのかが最後までわからなかった。
なんとなくの富豪!
記号としてのお金持ち!

■でも最大限に私がすっ転んでしまったのは
物語の軸であると思っていた
「呪いを解く」
ということの結果が
「なんとなく解けた」
ってことでしょうか。
ズコー!と思ってしまったのです。

もう何百年も草摩家に受け継がれてきた呪い。
でも、もう何百年も経ったしそろそろ賞味期限切れだよねー。
って感じで自然と呪いが解けていってしまうのだった!

な、なんでやーーーーッ!!!?

■少女の心の温もりが呪いを解いていった
というわけでもなく
なんとなく自然と?
このタイミングで?

キエーーーー!!

■そうだとしたら、
この世代よりも前の草摩家の呪いに憑かれた人は
いったい何のために生きてきたんだよー!
めんどくせー神様のお戯れで無駄な人生を送ってしまったというのかー!
なんて、なんて救いのない話なんだー!!

「ウッセー!」
「ぎゃー!な、殴ったね!」
「そんな昔の人のことは知らねー!今の彼女たちが幸せならそれでいいだろ!」
「ホゲーーッ!!そ、そんなぁーーーッ!」
「パンチ!」
「プギャーーーッ!!!」

■というわけで私は夜空の星となったのでした。
みんな、きっと幸せになってね。
そうじゃないと私、許さないんだから。

めでたしめでたし。


ほぅ!
クレージー♪
ゴナ、クレージー♪
鮮やかに色 染めーて♪


■というわけで私のフルーツバスケットを読んだよの物語は
ここで幕を閉じるでありました。

つ、疲れた。
そう、フルーツバスケットは名作ですよ。
(説得力が無ぇ!!!)

■そして別に男でもすんなり読める人も多いと思うし
むしろその人は女の子気持ちがわかってモテるよ!
ヤッタネ!

■あ、そうだ。
草摩綾女って人は良かったです。
この人が登場すると安心が満ちる。



■追記:内容には関係ないところでひとつ。
通常漫画のコマ内のセリフは右から左に読むのですが。
この漫画には時折逆に左から右にセリフが流れる時があって
最初は混乱しました。
一応なんとなくの読み方のルールを発見して馴染みましたが。
これはこの作者特有のものなのか、少女漫画全体のものなのかどうなんでしょ?

コマ割よりかセリフを繋げてS字に読んでいく感じ?
枠線に掛かって繋がっている吹き出しは
そちらの方向に進む感じよね。
不思議!








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