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2024年8月12日月曜日

【映画感想】劇場版モノノ怪 唐傘


 ■凄かったー。

物語過ぎず技巧的過ぎずに、

ちゃんと映画的パワーを映像で語る。

しっかしそれがもうゴリゴリの腕力で押し通りながらも

しなやかで美しいというね。

圧倒されますよ。

恐ろしい彼方に。

薬売りさん好きな人には確実に致死量。

にっこり。


■大奥に入り手に入れた出世と

それゆえのなすべき事。

そのためには自分の喜びなど捨て去らなければならない。

そこでしてしまう他人と自分を比べてしまうということ。


自分を捨て去り

社会機能の一部となれば

穏やかで安定した暮らしになるはずなのに。


感情が首をもたげる。

もっと、もっと行けるはずだ。

せっかくここまで来たのだから。

多くの犠牲を払ったのだから、

私はもっと貰っても良いはずだ。

他人から奪っても良いはずだ。

なんて欲望の坩堝にはまっていってしまう。


■そして、そんなこととはまるで逆な薬売りさん。

他人とは一線を画し

孤独な放浪の旅。

大きな感情に揺れることなく、

モノノケ退治を粛々と務め上げるだけ。


■その両極端な生き方には

それぞれ憧れるし

それぞれ難しそうだな、と感じる。


最後に結局ポカーンと明るく楽しく生きた方が良いのだよなぁ、

なんて思ったり。


■しかしまぁ、映像がカッコいいのですよ。

動きとテンポとリズム。

そして色彩と形。

なんともはやな

結局全部良いのですが。


■そういえばあの女の子の声優さんは

ユーフォニアムの久美子ちゃん。

また女性関係のクソデカ感情に巻き込まれておる。

困ったもんだ。


■登場人物は誰も悪くない。

しかしその悪くない全員が集まった先の社会に発生する心が

もっとも邪悪なモノノケに変容してしまうのですよね。

あなた自身がちょっとずつ他人の心を蝕んでいるのですから。

良かれと思って。


■でもちゃんと煌めくような

心の結晶を見ることができますよ。

良かったね。


■三部作って話だけど。

この話はちゃんと終わっていて。

読み切り3話連続って感じだと思う。

楽しみだなぁ。


劇場版モノノ怪 唐傘



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小説 劇場版モノノ怪 唐傘 (角川文庫)  @amazonより 

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