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2020年12月21日月曜日

【漫画感想】アキエ・ルイト 他 黒谷知也漫画


■時々ツイッターで奇妙な魅力のある漫画を発表されていて。

偶然、目については読んだりしていたのだけど。

あまり詳しくは知らなかったのだった。


■ある時、ふと。

あぁ、こんな漫画家さんなのだから単行本もあるはずではないか。

なぜか調べようとする発想が今までなかった。

そして調べてみたのならば、

ずらり。

山のように作品があった。

お宝だ!

■どうやら多くの本を自己出版しているようだ。

商業誌ももちろんあるが。


■そんなわけで、私的に超好みな作家さんなので。

ズイズイと読んでいったのだった。

まだ全部は読んでいないのだけど。



■これが楽しい!

なんだろ?

基本、奇妙な物語である。

日常に潜む非日常を、まるで日常のように描かれている。

あぁ、そう。

世界の秘密を知る漫画です。


不思議な光景、不思議な現象を見てしまって。

それを探究しようとする。



■逆に、物語的盛り上がりはあまりない。

主人公がピンチにおちいったり、

恋のライバルとバトルをしたりは全然しない。


奇妙な現象を追跡してゆく。

調査してゆく。

そしてついにその現象の仕組みが解明されるのか、

といえば、そうでもない。


ただただ、世界の不思議に圧倒されて終わる。


■そこに何も無いのかと言えば

奇妙な感動が残る。

世界の一部に触れたような感動だ。

■ほとんどは短編である。

ひとつひとつが世界の謎に触れる。

どこかの国の奇妙な風習であったりもする。

他人が見れば驚くが地元の人にとっては当然のことだったり。


なので、本当は不思議なことでも奇妙なことでもない。

当たり前に世界に存在する話なのだが。

私たちが知らなかっただけなのだ。


■そう、そんな感じで。

これは作られた架空の物語あるはずなのに。

本当の現実の世界もそうなのではないか、と思える。


■そしてこの作者は「本」に凄く引き纏われている人のようで。

本に関する物語が多い。

小説、エッセイ、書籍、図書館、文章、文字、言語。

それらに深く関わるお話。


「本ばかり読んでいてはダメだ、外でいろんな体験をすることが重要なのだ」


なんてことを言われた人は本読みには多いかもしれない。

だが、それは違う。

本は重要だ。


■本には世界が織り込まれている。

本の作者は世界のことを書いているのだ。

別に風景のことだけでなく、

人について書いていたとしても、

それは世界だ。


■多くの作者が世界を濃縮して書き写している。

それはもちろん世界の一部。

私たちがぼんやりと体験している世界より深く

作家は文字にして世界を定着させている。


■そんな世界の一部が

図書館には山のようにある。

書店にも随時投入されている。


■そう、全ての本を読み尽くせば

世界の全てが分かる。

世界の全てが理解できるのだ。


■しかしまだ、

「本を書き尽くした」

と言う話は聞かない。


本はこれからも

あとからあとから溢れ出てくる。


■つまり、まだ人は世界を書き切ってはいない。

しかし、いつかきっと

世界の全てが、描かれる。


■それは巨大な図書館に収められ。

夢の中で閲覧自由だ。

持ち出しは禁止だが。

もちろんそれは図書館というには巨大過ぎ。

宮殿のような有様だという。




■何の話だ!

なんか、そんな感じの愉快な漫画なので。

気になった人は読もう!


とりあえず以下をお勧めしておきます! 

●「アキエ・ルイト」

世界に影響を与えないという奇妙な現象を持つ少年の話。


●「軍艦雲」

軍艦雲、そういう気象現象がある。それは時折現れ、町を飲み込む。


●「二乗の本」

その本は1ページ開くたびにその大きさが二乗になる。

全300ページほどある。最後まで開けるとその大きさはどうなるのか。



さらっと読んじゃいな!


世界の全てがそこにある。



黒谷知也|note

黒谷知也 - pixiv




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