■時々ツイッターで奇妙な魅力のある漫画を発表されていて。
偶然、目については読んだりしていたのだけど。
あまり詳しくは知らなかったのだった。
■ある時、ふと。
あぁ、こんな漫画家さんなのだから単行本もあるはずではないか。
なぜか調べようとする発想が今までなかった。
そして調べてみたのならば、
ずらり。
山のように作品があった。
お宝だ!
■どうやら多くの本を自己出版しているようだ。
商業誌ももちろんあるが。
■そんなわけで、私的に超好みな作家さんなので。
ズイズイと読んでいったのだった。
まだ全部は読んでいないのだけど。
■これが楽しい!
なんだろ?
基本、奇妙な物語である。
日常に潜む非日常を、まるで日常のように描かれている。
あぁ、そう。
世界の秘密を知る漫画です。
不思議な光景、不思議な現象を見てしまって。
それを探究しようとする。
■逆に、物語的盛り上がりはあまりない。
主人公がピンチにおちいったり、
恋のライバルとバトルをしたりは全然しない。
奇妙な現象を追跡してゆく。
調査してゆく。
そしてついにその現象の仕組みが解明されるのか、
といえば、そうでもない。
ただただ、世界の不思議に圧倒されて終わる。
■そこに何も無いのかと言えば
奇妙な感動が残る。
世界の一部に触れたような感動だ。
■ほとんどは短編である。
ひとつひとつが世界の謎に触れる。
どこかの国の奇妙な風習であったりもする。
他人が見れば驚くが地元の人にとっては当然のことだったり。
なので、本当は不思議なことでも奇妙なことでもない。
当たり前に世界に存在する話なのだが。
私たちが知らなかっただけなのだ。
■そう、そんな感じで。
これは作られた架空の物語あるはずなのに。
本当の現実の世界もそうなのではないか、と思える。
■そしてこの作者は「本」に凄く引き纏われている人のようで。
本に関する物語が多い。
小説、エッセイ、書籍、図書館、文章、文字、言語。
それらに深く関わるお話。
「本ばかり読んでいてはダメだ、外でいろんな体験をすることが重要なのだ」
なんてことを言われた人は本読みには多いかもしれない。
だが、それは違う。
本は重要だ。
■本には世界が織り込まれている。
本の作者は世界のことを書いているのだ。
別に風景のことだけでなく、
人について書いていたとしても、
それは世界だ。
■多くの作者が世界を濃縮して書き写している。
それはもちろん世界の一部。
私たちがぼんやりと体験している世界より深く
作家は文字にして世界を定着させている。
■そんな世界の一部が
図書館には山のようにある。
書店にも随時投入されている。
■そう、全ての本を読み尽くせば
世界の全てが分かる。
世界の全てが理解できるのだ。
■しかしまだ、
「本を書き尽くした」
と言う話は聞かない。
本はこれからも
あとからあとから溢れ出てくる。
■つまり、まだ人は世界を書き切ってはいない。
しかし、いつかきっと
世界の全てが、描かれる。
■それは巨大な図書館に収められ。
夢の中で閲覧自由だ。
持ち出しは禁止だが。
もちろんそれは図書館というには巨大過ぎ。
宮殿のような有様だという。
■何の話だ!
なんか、そんな感じの愉快な漫画なので。
気になった人は読もう!
とりあえず以下をお勧めしておきます!
●「アキエ・ルイト」
世界に影響を与えないという奇妙な現象を持つ少年の話。
●「軍艦雲」
軍艦雲、そういう気象現象がある。それは時折現れ、町を飲み込む。
●「二乗の本」
その本は1ページ開くたびにその大きさが二乗になる。
全300ページほどある。最後まで開けるとその大きさはどうなるのか。
さらっと読んじゃいな!
世界の全てがそこにある。
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『本の棺 他2篇』配信開始です。よろしくお願いします。https://t.co/Ibts6lMZI3 pic.twitter.com/KQJfGS0a7m
— 黒谷知也 (@kuroyatomoya) December 4, 2020
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