山口貴由は一貫して「正義のヒーロー」を描きたい人なのだ。
ぶっちゃけ「仮面ライダー」になりたい大人なのだ。
それも本気で現実に正義のヒーローを実現させようとして、
どうすればそれが可能なのか真面目に考えまくっている人なのです!
「覚悟のススメ」では
それをそのまま間違った世の中を正しくせねばならない!
って情熱と衝動に溢れて、若さの勢いで突っ切り。
「シグルイ」で、
ではその正義の強さとはどのようなものなのか
そしてそれを得るためにはどのような研鑽が必要なのか
何かを捨てなければその強さは得られないのか。
強さについて思考し。
「エクゾスカル 零」では、
いや果たして本当に正義は必要なのか?
むしろその正義は本当に正義なのか?
個人の思い込みではないのか?
たったひとつの正き道など無いのではないか?
と悩み。
「衛府の七忍」で、
いやしかし、その悪は正さねばならぬ!
理不尽にあえぐ民衆は救いを求めている!
力を持った者が立ち上がらねばならぬ!
って感じで
これまでの山口貴由漫画の集大成みたいになってきて
めちゃくちゃ面白いのですよ!
しかもこの4巻に来て俄然その怒涛感が増して来て
その圧倒さ加減にシビレまくりなのです!
よくある正義の味方漫画では
作者の嫌いな悪を倒し、
作者の好きな正義が勝つ、
って感じで
あぁ、それってその漫画の中ではそうかもしれないけど
現実では無理だよなーと言うのが多い。
しかし、山口貴由漫画は
それを本気で現実にするために
何十年も考え続けているのですから
もうその漫画の現実感が強い!
現実が漫画に負けるのです!
そして漫画が現実になる!
この漫画の中の人物はフィクションではない、
そんな強さをビシビシと感じまくるのであります。
「衛府の七忍」は圧政を敷く巨悪から民衆を解き放つために
各地で怨身忍者と成り果てて正義の力を得る無骨者供の話を
ひとりひとり描いています。
その出生、彼らの受ける理不尽、
いきどおり、行き場のない恨み。
それらが力の塊となって「変身」する!
果たして、ついに!
現実世界に
「正義のヒーロー」が
「仮面ライダー」が
実現せしめたるあり様に
何の疑いもなく
認めてしまえる
圧倒的熱筆!
そんな感じで
なぜか笑ってしまうほどに
強さを感じる面白さです
肉体的強さのみならず
精神的な圧倒的支柱になることでしょう。
触れると燃え落ちてしまうような
異様な熱量を持った鉄球のごとく。
みっしりと、
そこにあります。
素敵。
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